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ファッションECサイトが驚くべき動画マーケティングで成功した理由(前編)

ファッションECサイトが驚くべき動画マーケティングで成功した理由(前編)

いきなりですが、私はデザイナーズブランドが好きです。ところが、私が好きなMaison Margielaのようなブランドの価格は非常に高くなかなか一般人には手が出ません。

そこで『Farfetch』『MATCHESFASHION』『net-a-porter』など海外のファッションECサイトもよく利用します。なぜかというと日本よりもまだ安い価格で買うことができるからです。

その一つで、アウトレットや古いシーズンのものを中心にしたECサイト『YOOX』が2018年にYouTube上の動画広告で成功しました。YOOXは2015年にnet-a-porterと合併してYOOX NET-A-PORTERグループとして成功を収めています。

作成したのはStink StudiosとGoogleです。この成功事例はGoogle内の『Think with Google(コンバージョンを促進する動画広告を作成するための4つの原則 著者:ハーマン・ミラー)』で取り上げられています。

YOOXが動画プロモーションで成功した理由

STEP1.サイトには載っていないアイテムを収集

上記のようにファッションECサイトは数多くあります。それらのサイトは英語という敷居がありましたが、今では一部が日本語に対応。対象市場はアメリカ、イタリア、日本、韓国が主だといいます。確かに、YouTuberが海外通販を紹介したことで日本からの消費者も増えているように思えます。

そこで、YOOXはまず対象市場でどんな商品が検索されているかを調べて、人気ではあるが「サイトには載っていない」アイテムを400種類ほど集めました。その上で靴やバッグなど5つのカテゴリに分類して、カテゴリごとに動画を作成することにしました。

STEP2. 時限爆弾式の動画広告

さて、サイトには載っていないアイテムで動画を作って何に使うのでしょうか? それは「動画広告」のためです。YOOXは「もっとも独占的なコレクション」と題した動画広告のキャンペーンを打ちました。

仕組みはこうです。Web上で「集めた商品のいずれか」の動画広告を表示します。上記の例では高級シューズブランドの一つ「セルジオ・ロッシ(Sergio Rossi)」のパンプスが該当です。

それは「15秒の時限爆弾式」になっていて、広告の冒頭で視聴者がすぐにクリックをしなければ購入する権利を失うことを明らかにしています。視聴者は「今すぐ購入」ボタンをクリックすると遷移先のページでアイテムを購入できるというものです。

STEP3. 結果は?

『WELOVEAD』によるとこのプロモーションは5100万回のインプレッションを記録し、1,900万回が完全に視聴されたといいます。平均ビュー率に換算すると37.2%、これは通常の平均14%と比べて23%も高い結果になりました。

1,470万人のユニークユーザーが視聴し、31万人がランディングページへ飛び商品を閲覧、結果として1,715アイテム約26万€(日本円で3,340万円)を売り上げたといいます。

1ビュー当たりのコストは0.02€(日本円で3円相当)というのだから動画活用の素晴らしい事例といえます。さて、動画がまだYouTubeに残っていないのでここで見てみましょう。

さて、次回はこれをもとに、なぜ成功したのか、作成したGoogle側の見解を紹介しましょう。

▼後編はこちら
>>ファッションECサイトが驚くべき動画マーケティングで成功した理由

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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