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音楽ライブ配信ならではの演出や撮影技法

音楽ライブ配信ならではの演出や撮影技法

こんにちは! エレファントストーン ディレクターの安藤です。コロナの影響により、リアルなライブの中止を余儀なくされているなか、盛り上がりを見せているのが音楽ライブ配信です。

「NUMBERGIRL」や「cero」などいち早く無観客ライブを生配信したり、フジロックでは過去のアーティストパフォーマンスを配信するなど、自宅で楽しめるようなライブ配信が盛り上がっています。

中には、MVのような仕上がりの収録ライブなど、安全性を考慮したうえでの変わった音楽ライブの配信が公開されています。今回は、僕が観てきた中で、印象的だったライブ配信を紹介したいと思います。

THE NOVEMBERS Live 「At The Beginning」

(本有料配信は既に12月18日付で終了しています。)

THE NOVEMBERSは5月に新作「At The Beginning」を発売しリリースツアーを行う予定でしたが、コロナの影響による全てがキャンセル。リアルなライブを行う代わりに、収録した有料配信ライブを敢行しました。

栃木県大谷石採石場跡にある大谷資料館でライブ撮影が行われており、そこは、打ち付けのコンクリートに覆われた無機質な空間が広がっています。

「THE NOVEMBERS」の新作「At The Beginning」は、電子音を使った実験的でインダストリアルノイズを前面に押し出しながらエレキギターを使ったディストーションノイズによる轟音が特徴的ですが、そのサウンドを強調するような空間、映像表現を行っていることが、ダイジェスト映像から確認することができます。

リアルなライブができないから生配信をするのではなく、生配信である必要があるかのように、その手法でしか出せない演出や
そのアーティストが持つイメージを損なわないような、非常に考えられたライブ表現ができているなと思いました。

Shugo Tokumaru (トクマルシューゴ) – Rum Hee (Tonofon Remote Festival 2020 Special ver.)

これまでみてきた中で一番印象的だったライブ配信は、『トノフォン(リモート)フェスティバル2020』のトクマルシューゴの収録ライブ配信です。

多種多様な楽器を駆使したポップなサウンドと実際にみた夢をモチーフにした詩を使った独自の世界観を作っている「トクマルシューゴ」。ライブでは、CD音源とは違うライブでしかみられないアレンジなど人を飽きさせないサウンドへのこだわりは、ライブの見せ方にもユニークにも表れています。

公開されたライブはYouTubeでアーカイブ映像としてアップされており、いつでも見ることができる。

ソーシャルディスタンスThe Flaming Lips “Race For The Prize” – Late Show

アメリカの深夜トーク番組『The Late Show with Stephen Colbert』では、「#PLAYATHOME」をテーマにそれぞれの自宅や360°カメラで撮影した臨場感あるライブ映像を配信するなど、様々な方法でソーシャルディスタンスを保ったライブを配信しています。

生配信されたライブ配信のほとんどはアーカイブとしてYouTube等で公開されているが、その配信の中でも一際ユニークなパフォーマンスだったのが『The Flaming Lips “Race For The Prize” – Late Show』です。観客とメンバー全員が巨大な風船に包み、観客同士の「完全隔離」を実現しています。

これ、みんな「バブルサッカー」のような特殊な風船にしたらモッシュもダイブも可能では? 観客の酸素の状態がかなり気になりますが、完璧なコロナ対策が取れています。この演出を取り入れた「隔離ライブ」をツアーで行う予定だったらしいですが、
コロナの感染拡大を受けて、ライブが延期になってしまったようです。残念。

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いかがでしたでしょうか。お家時間が増えたことによりネット動画の配信事業は急速に伸びているらしく、今後もまた表現は多様化していくと思われます。コロナの影響により色々と制限がかかっている世の中ですが、それを言い訳にせずに新しい方法を生み出そうという気持ちでやればいいなと思います。

この記事を書いた人

安藤興作
エレファントストーンのディレクター

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