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カセットやビデオテープの値段が今とんでもないことになっている

カセットやビデオテープの値段が今とんでもないことになっている

音楽を携帯して聞くのにウォークマン、MD、MP3プレイヤー(ipod)……ここ半世紀の間にも多数の規格が登場して覇権を握り、そしてなくなっていきました。ソニーの名前を世界に知らしめたウォークマンはカセットテープの再生機器です。

カセットテープにはラジオや会議の録音、レコードのダビング、自分だけのベスト音楽集、さらにはテスト勉強のための音声の録音などカセットテープは音楽を聴くだけでなく様々な役割を担っていました。

カセットテープにある規格、ノーマル、ハイポジ、メタル

さてカセットテープにはその中でもたくさんの規格があります。

1966年にマクセルが生産を開始して以降、「ノーマルテープ(I)」のほかに高音域が広い「ハイポジ(II)」(タイムスリップ漫画『ハイポジ』はここからとられたと思われる)、「メタル(IV)」などの規格が出現。メタルテープは高価な分一番音質が良いと言われていました。とっておきの音楽はメタルテープに入れていたという人は多かったでしょう。私もその一人です。

カセットテープはすでに多くの企業で生産を終えており、今はノーマルテープだけノーブランドが細々と提供を続けている状態です。

メタルテープの新品は貴重となっておりハードオフでは7,000円から15,000円ほどで現在売られており大変レアなアイテムとなっています。実際、フリマアプリ『Mercari』を見ても3本5,900円とか1本3,000円で売り切れているものがありました。

カセットテープはレコードなどと同じく一定の市場が残っているばかりか熱い視線が送られています。シニア層が使い続けているだけでなくカセットに振れたことのない若者が新しいものとして捉えているからです。

Perfumeは昨年9月のニューシングル『Time Warp』にてカセットテープのついた完全生産限定盤を販売。それ以外にも坂本冬美さんら新曲をカセットテープで出すことも増えています。

ビデオテープはどうなっている?

次に映像の記録媒体を振り返りましょう。

現在はSDカードのようなメモリーカード、フラッシュメモリ、DVといったものが主流ですが、それまではビデオテープが覇権を握っていました。カセットテープと合わせて大変かさばるアイテムだったので家の中に置く場所がない!という方多かったのではないでしょうか。

ビデオカメラ、ビデオデッキが登場すると写真と合わせて子供たちの成長の記録に録画されるなど映像が身近なものになりました。となると覇権争いはし烈を極めます。特に1980年代、ソニーのベータマックスとビクターのVHSによるビデオテープの規格戦争です。筆者はその戦争真っただ中で育ったわけですが、VHSかベータかビデオデッキのどちらを買おうか家族ぐるみで悩んだのは私だけではないはずです。

それ以外にもビデオカメラに採用された小さめの8mmビデオ、そしてその対抗としてVHS-Cと規格は入り乱れました。結局、VHSとビデオカメラは8mmビデオが勝者になったわけですが、VHSの中にも種類があります。

時代と共に技術革新が進み、音質の改善した「HQ」等の規格、「S-VHS」とそのビデオカメラ規格「S-VHS-C」、衛星放送などのPCMデジタルオーディオを劣化なく記録できる「S-VHS DA(DigitalAudio)」、アナログハイビジョン対応の「W-VHS」、デジタル放送対応の「D-VHS」とこちらはカセットテープよりもさらに規格が増えます。

現在の価格はVHS-Cをテレビで見るためのコンバーターがAmazonで8,000円程度、S-VHSテープは5本で2,000円、D-VHSは同じく4,800円とカセットテープほどではありませんが高騰をしています。

新品のビデオデッキはもうない

問題はビデオデッキです。ビデオデッキは船井電機がOEMを含めて生産を続けていましたし一定の需要があったそうですが、2016年7月に部品の調達が困難になったとして生産を終了しています。そのためAmazonで「ビデオデッキ」と検索して調べてもほとんど売られているものがありません。フリマアプリ等で中古品を買うならともかく新品を買うのはとても困難な状況です。

ビデオはサイズが大きいとしてその後LD(レーザーディスク)、DVDときて現在はブルーレイやHDDに録画をすることが普通になっています。また、同じくカメラなどの撮影ではSDカードなどのメモリーカードが主流です。

サイズこそ小さくなりましたが、VHSには電源を推してカセットを入れれば再生ができるという簡単さがありました。それでもビデオデッキは復活しないだろう、と言われています。

それは、画質は640*480pxのSD画質で初期のYouTube並みであること、ビデオデッキの生産を船井が辞めたようにヘッドと呼ばれる部品は特に技術が必要かつレアメタルを使うためにコストも高いことがあげられます。

それでもインスタントカメラ、カセットテープの復活とくれば、次にくるのはアナログチックな映像美だと期待してしまうのは早計でしょうか。

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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