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SF映画・小説が現実に?「曲がる映像」の世界
SF映画・小説・アニメといえば、20世紀の時代に私たちの想像力を掻き立てるものでした。21世紀は空飛ぶ自動車にドラえもんのようなロボットがいて宇宙を股にかける……。少年時代に夢を見た未来はまだ来ていないように思えて意外と近いところまで来ているようです。
今回よりSF映画・小説などで登場した映像技術のうち2021年の今実現できているものを少しずつ紹介します。現実は意外ともう未来でした。
映像ディスプレイが曲がる時代の到来
今回紹介するのは曲がる映像です。私たちが子供の頃は、テレビはブラウン管で広い奥行を必要とするものでした。しかし、今では液晶テレビになり、有機ELディスプレイが主流になっています。有機ELは薄くすることがどこまでできるのでしょうか? ディスプレイを曲げることでできるスマートフォン「FlexPai」「Galaxy Z Flip」も登場しています。
まるで手帳の表紙のようにディスプレイが曲げられるFlexPai。
リードするのは中国企業
開発競争がし烈な中、FlexPaiをリリースしリードするのは中国Royole(ロヨル)です。Royoleが開発したのは薄さ0.01mmの有機ELディスプレイです。なんとディスプレイ化した帽子「Royole Flexible Top Hat」やTシャツも販売・レンタルしています。
「何を言っているかわからない?」Tシャツや帽子にはディスプレイが埋め込まれていて映像を映し出すことができます。Royoleの公式チャンネルではサッカーのサポーター向けにどうか?と提案をしています。一方で日本代理店のクリア電子は「展示会で目立つことができる」とビジネス利用も推進しています。
すでにルイ・ヴィトンも採用
フレキシブルディスプレイ(曲がるディスプレイ)は、SF映画に登場する紙に映し出された映像のようです。2019年にルイ・ヴィトンのショーでバッグに映像を映し出したことも話題になりました。
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この投稿は最初の3日で80万回を超え話題となりました。
ファッションショーの世界はただ奇抜なだけではありまえん。常に新しい技術との融合も考えられており、これまでも宇宙服の素材などが取り入れられてきましたが映像ディスプレイをカバンの中にいれたのは初めてではないでしょうか。
曲がる紙にあわせて映像合成
曲がるディスプレイが登場するならば、それに合わせた映像技術も考えなくてはなりません。米NVIDIA、香港中文大学、中国浙江大学のチームが発表したのが「LIFE: Lighting Invariant Flow Estimation」です。
詳しくはこちらのサイトで見ることができます。
そのまま訳してしまうと「照明不変フロー推定」と言う意味になりますが、簡単にえば深層学習のAIを使って曲がった紙に対してもAIで映像合成ができるというものだ。視点が変わろうが、移動しようが、紙が曲がろうが何をしてもはめこまれた映像がずれることはない。
すでに4月にはジブリ映画を曲がる紙にはめこんだ映像を公開していました。
LIFE: Lighting Invariant Flow Estimation
pdf: https://t.co/ejIM7ChLYB
abs: https://t.co/UesHhvAMNp
project page: https://t.co/Eu0RxjC2BY pic.twitter.com/njSxyvBNYx— AK (@ak92501) April 8, 2021
曲がる映像ディスプレイ、どう活用する?
曲がる映像ディスプレイを使った技術はエンターテインメントの世界でも活躍しそうです。Royoleは2020年にTwitterで曲がるディスプレイを使ったコスプレの例としてアニメ化マスクを紹介しています。
今後ともCHA2さんの格好いい作品をご期待下さい。
フレキシブルディスプレイに関するお問合せメールアドレス:Sales_JP@royole.com pic.twitter.com/C7GNFfzJMe
— Royole Japan (@RoyoleJ) June 7, 2020
曲がる紙を使えば確かに顔もアニメーション調のキャラクターになることができます。なんと前もきちんと見えるそうですよ。映像技術をどう生かしていくのかは私たち次第と言えるのでしょうか? SF映画を超える想像力が試されていますね。