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一つの”河川“に徹底フォーカス。“奇跡の清流”から見る観光プロモーションの形
映像を使ったプロモーションをしたくても、メジャーな観光地も名のある特産品もない……。そんな悩みを抱えている自治体・企業の方々も少ないなのではないでしょうか。たとえ全国的にはあまり知られていない地域・エリアであっても、旅行者や移住者に向けて効果的なプロモーションを行うことは十分に可能です。
その一例として本記事では、高知県の仁淀ブルー観光協議会が取り組んでいるプロモーションをご紹介します。
日本一きれい。仁淀川の魅力って?
【ポイント】
・セールスポイントは一つあれば良い。
・ニッチであっても極限までクリアにされた強みは人の心を惹きつける
・多様なプラットフォーム、多角的な視点で一つのエリアにひそむさまざまな魅力を引き出す
仁淀ブルー観光協議会の行っているプロモーションの特徴は、高知県の中心を流れる“仁淀川”という一つのスポットに全精力を傾けたコンテンツ作りを実践していることです。仁淀川という地名を初めてを目にした方も少なくないのではないでしょうか。しかしながら、この仁淀川、どこのマチにでも一本はあるただの“おらが川”ではありません。
一級河川の水質ランキングで連年の第一位を獲得。“奇跡の清流”とも称される、日本でもっとも水の澄んだ河川の一つなんです。観光協議会に付けられた“ブルー”もここからきています。
とはいえ、ただやみくもにプロモーションを行うだけでは、その魅力は伝わりません。仁淀ブルー観光協議会では、仁淀川の持つ強みをクリアにし、見せ方を工夫しながらさまざまな媒体を活用することで、その魅力を最大限にアピールすることに成功しています。以下では、実際にどのようなプロモーションを行なっているのか。YouTube・Facebook・Twitter・InstgramといったSNS上で実践例をそれぞれご紹介していきます。
YouTube
【ポイント】
・無名の観光スポットとしては異例の人気
・一つにスポットでも撮影エリアやコンセプト、シーズンを変えることで異なる魅力を発信
YouTubeでは、美しく澄んだ仁淀川の魅力を映像の力によって最大限に発信することが可能です。
2021年9月にアップされたこちらの動画は、大ヒットアニメ映画『竜とそばかすの姫』の舞台になったことでも話題を呼び、全国区とは言えない観光スポットとしては異例の再生回数をマークしています。
”失恋のブルー“と”清流のブルー“をかけたユーモラスなショートストーリーがたまらなく面白いですよね。空撮による仁淀川の美観ともに、絶景スポット、ご当地グルメ、レジャー、キャンプと観光客が求めるお楽しみ要素もすべて3分のフレームの中にぎゅっと詰まっています。
動画に登場するスポットの詳細が概要欄にきちんと記載されているのも見過ごせないポイントの一つです。
昨年末には、夏の観光シーズンに向けて複数のプロモーション動画を公開。高知県でイルカやクジラと触れ合うことが出来るのを初めて知った方も多いのではないでしょうか。同じスポットでもそのシーズンでしか出会うことのできない体験がある旅行の魅力を見事に伝えていますよね。
こちらは、土佐市を舞台にした上の動画と同じ“発見の夏旅篇”の仁淀川町verです。
複数のマチをまたがって流れる河川にはさまざまな魅力が内在しており、一つのスポットでも撮影エリアやコンセプト、シーズンを変えることでまったく異なったテイストのプロモーションができます。
Facebook、Instagram
【ポイント】
・素朴な映像コンテンツでナチュラルな魅力をアピール
・YouTubeと緊密に連動させる
淀川ブルー観光協議会では、Facebookを活用しショート動画を随時アップしています。
https://fb.watch/aJHnrZhO56/
職員に方が仁淀川で水切りをする様子を撮影した映像です。ファミリー動画のような親密さが素敵ですよね。
https://fb.watch/aFp0h6lr54/
こちらは、渓谷を散策する様子を映した一本。近所を散歩しているような素朴な魅力がうまくでています。
基本的な事柄ではありますが、YouTube上で新しく動画をアップした際は、Facebookでも告知をすることが大切です。こちらは、Instagramでの映像です。
この投稿をInstagramで見る
空撮で仁淀川の撮影をしたものを多くアップしています。
FacebookやInstagramでの動画視聴は短時間であることが多く、YouTube向けの動画とは異なり趣向を凝らした編集や演出、加工修正のないナチュラルな映像コンテンツとの相性が良いです。
【ポイント】
・ショート動画で穴場の紹介に活用
仁淀川ブルー協議会では、テキストによる地域のお祭りやイベント、グルメ情報の告知にとどまらず、定期的にショート動画を公開することで穴場紹介の場としてTwitterをうまく活用しています。
安居渓谷への道。前の軽自動車みたいに上手に譲り合いながら行ってもらえると気持ち良く観光できますね。#安居渓谷の道 pic.twitter.com/osN69XbDGT
— 仁淀ブルー観光協議会 (@niyodoblue1) December 4, 2021
壮大な景観はもちろんのこと、地域住民にとっては何気ない風景も都心部で暮らす人々には魅力たっぷりに映るもの。
仁淀ブルー体験博、中村商会さんのmy仁淀ブルーサイクリング♪
次の穴場に向けlet’s goです! pic.twitter.com/23sTC3ie3K— 仁淀ブルー観光協議会 (@niyodoblue1) November 21, 2021
サイクリングなどのアクティブティやレジャー観光のPRでは、写真より映像の方が効果的です。
仁淀川支流の土居川、キレイすぎる仁淀ブルー!!#仁淀川 #niyodoblue #仁淀ブルー pic.twitter.com/jBdUcG6lhw
— 仁淀ブルー観光協議会 (@niyodoblue1) October 29, 2021
青く透き通った“仁淀ブルー“。現地で実際にその美しさに触れてみたいものです。
まとめ
今回は、一つの観光スポットにフォーカスをしたプロモーションの一例として仁淀ブルー観光協議会の取り組みをお届けしました。高知県の仁淀川という全国的にはちょっとニッチな観光スポットであっても、強みをクリアにし、映像を効果的に使用することで多くの人にその魅力を伝えることに成功しています。
水質ランキングを見事にセールスポイントへ取り込んだ仁淀川のように、絶景ランキングや作物の生産量などまだあまり注目されていない指標をうまくプロモーションに活用してみるのも面白いかもしれませんね。今後も、ユニークなプロモーションの事例をピックアップしてご紹介していくつもりです。お楽しみに!