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クリエイターのモチベーションを高める!アニメ『映像研には手を出すな!』の制作現場との共通点

クリエイターのモチベーションを高める!アニメ『映像研には手を出すな!』の制作現場との共通点

こんにちは!最近、大河ドラマにハマっているエレファントストーン ディレクターの磯部です。。

みなさん、突然ですが『映像研には手を出すな!』というアニメ作品はご存知ですか?

2020年1月〜4月にかけてNHKで放送されていたこのアニメ。
(公式サイト:http://eizouken-anime.com/

一部界隈で話題になってたな〜くらいの認識だったのですが、Amazonプライム・ビデオで作品が見れることを知り、今更ながら話題になってたし見てみるか、くらいの軽いノリで見始めました。すると…映像業界に身を置いているいち人間として、リアルな「あるある!」がありすぎてビックリ!

ということで今回は、実際に映像の現場にいるディレクターが感じたこのアニメの感想をまとめていきたいと思います!

『映像研には手を出すな!』って?

『映像研には手を出すな!』は、とある高校の「映像研究部」を舞台にした青春(?)アニメです。私が特に面白い(現実とリンクしている)と思ったのが、主人公たちのキャラクター設定です。

浅草みどり

芝浜高校に入学したアニメが大好きな1年生。好奇心旺盛で想像力豊かだが、人付き合いは苦手。「アニメは設定が命」が信条で、日常の風景をヒントにして、さまざまなアニメの設定をスケッチブックに描き貯めている。

(引用:TVアニメ『映像研には手を出すな!』公式サイトhttp://eizouken-anime.com/

→もし映像制作会社にいたら、「ディレクター(監督)」の立場

水崎ツバメ
浅草みどりの同級生。カリスマ読者モデルとして活躍しており、校内でも有名人。両親ともに役者であり、ツバメも将来女優になることを期待されている。しかし本人はアニメーター志望で、特にキャラクターの動きを描くことに長けている。

(引用:TVアニメ『映像研には手を出すな!』公式サイトhttp://eizouken-anime.com/

→もし映像制作会社にいたら、「アニメーター(エディター)」の立場

金森さやか
浅草みどりの同級生。長身で美脚の持ち主。アニメについては興味も知識もないが、なぜか浅草に関心を持ち、つるんでいる。お金を生み出す行動が大好きで、ふとした会話の中でも儲ける手段を考えている。

(引用:TVアニメ『映像研には手を出すな!』公式サイトhttp://eizouken-anime.com/

→もし映像制作会社にいたら、「プロデューサー」の立場

この作品は架空の高校を舞台にしたフィクションですが、かなり現実のクリエイティブの現場でよくみる人たちのキャラ設定だなと思いました。

それぞれに異なる特技や性格を持ちながら、「最高の作品を作る」という1つの目的に向かって一致団結。時にぶつかり、四苦八苦しながらも協力していきます。

こだわりが強すぎてなかなか完成しなかったり、好奇心旺盛なあまり暴走&脱線したりしがちな浅草と水崎の2人のキャラクターに対して、金森がツッコんで軌道修正するというのが基本のパターンです(笑)

「映像研には手を出すな!」と実際の制作現場の共通点

制限があるからこそ面白くなる

基本的に、主人公たち3人はいつもいろいろな「制限」に追われています。それは締め切りという時間や金銭的な制限だったり、リソースの制限だったり、その時々でいろいろです。

この話の主人公たちは、仕事として映像を作っているわけではないので、基本的には「好きなものを作る」という理念で行動しています。それでも、本当に好き勝手作っているわけではなくて、いつも何か理由があって映像を作っています。自主制作であっても、映像制作は手間とお金がかかるものです。何かあった時に力を貸してくれる後ろ盾が必要になってきますこうして第三者が関わるため、達成しなければいけない目的ができ、意見を取り入れて映像を作ることが求められるようになります。

特に問題なのは「時間」です。映像制作の現場では、この「時間が足りない」という問題がいつも付き纏います。「やりたいことは沢山あるけど時間が足りない」という悲しい現実が目の前にある中で、それでもなんとか間に合わせるために泣く泣くシーンを削ったり、演出や題材、カメラワークを工夫したりなどなど。あらゆる手を使って「足りないもの」をクリアにしようとします。

でもまさに何かを作るとは、そういうことの繰り返しではないかと思います。仕事にしろ、趣味で作るにしろ、ほとんどの人は大富豪ではないので、用意された環境の中でできることには限度があります。その中でどのような方法があるかを模索していく過程や、創意工夫していくから面白いですし、時にそれが思いも寄らない良い結果を生み出すこともあります。

そこがクリエイターにとって腕の見せ所でもあり、そこを乗り越えていくことに快感を覚えている人も多いと思うのです。

分業の難しさ

映像制作は分業制で行うことが多いです。数十年前の映像機材がまだとても高価だった時代はもちろん、安価で性能の良い機材が増えて、小規模なチームでクオリティの高い映像が作れるようになった今でも、まだ作業分担をして複数人で作品を完成させるケースが多いです。(カメラマン、編集マン、MAエンジニアなど…)

「映像研には手を出すな!」では、第7話でこの分業であるがゆえのジレンマが明るみに出ます。

文化祭で上映するロボットアニメの制作は思うように進まずにいた。作画が遅れているため、音響部の百目鬼(どうめき)は効果音の準備が始められない。声優を買って出たロボ研の小野たちの演技は暴走するに違いなく不安だらけ。さらに、美術部の芸術が爆発して背景の描き直しが大量に発生、浅草が肩代わりすることになる。そんな状況に金森はイラ立つが、作画担当の水崎は、動きの表現へのこだわりを絶対にゆずろうとはしなかった。

(引用:TVアニメ『映像研には手を出すな!』公式サイトhttp://eizouken-anime.com/

それぞれ違う性格や考えを持っていて、役割や立場も異なります。そういった違うものを持った人たちが集まって何かをする際は、映像制作に限らず意見がぶつかることは仕方のないことなのだと思います。ただ、全員違う考えを持っていることを前提に、いかにして映像制作のために全員が同じ方向を向いて努力することができるか。それが分業である映像制作では特に重要なのだと思いました。大きい制作会社などで制作進行を専門とする役職があるのは、制作チームが向かう方向を揃えるためなのだと思います。

また、映像というのはなかなか厄介です。視覚的な情報が多く、口で説明しようとしても上手くイメージが伝わらないことが本当に多いです。ある程度大きな案件になると、自分の制作スキルはもちろんですが、いかにして他の人を巻き込んで自分が思い描いているイメージや求めているクオリティを実現できるか、という能力の方が必要になってくると思うこの頃です…

各持ち場の責任を果たし、全力を尽くす

ここまでお伝えした通り、映像制作は分業制で行われることが多いです。自分のテリトリー(専門)以外の仕事の範囲は、お互いに踏み込むことができないというジレンマがあり、それゆえの軋轢も生まれやすいのではないかなと個人的に思っています。しかしこのアニメの主人公たち3人は、自分のやれること、持ち場に責任と誇りを持っていて、それが結果的に良い作品を生み出す原動力になっています。

映像制作への原動力という観点から、この作品には印象に残るセリフが本当に沢山あります。

プロデューサーである金森が、浅草から「金の亡者!」と揶揄された時には放った「仕事に責任を持つために金を受け取るんだ!」というセリフだったり、アニメーターの水崎の「動きの1つ1つに感動する人に、私はここにいるって言わなくちゃいけないんだ!」というセリフだったり。

セリフ部分引用:アニメ『映像研には手を出すな!

映像制作に少しでも関わっている人には心に響くセリフがいろいろあると思います。自分の仕事に誇りを持っているからこそ飛び出す主人公たちの名言に胸が熱くなったり、自分と重ね合わせて、モチベーションが上がったりするのではと思います!

終わりに

漫画や映画で「創作って素晴らしい!」や作家として作ることの苦しみなどをテーマとした作品はよく目にする思います。『映像研には手を出すな!』のようにチームとして、団体としての作品づくりの面白さや難しさを描いた作品ってあまりないような気がしています。そういう点ですごく新鮮な気持ちで見ることができました!

映像制作に限ったことではないのかもしれませんが、作品をつくることには終わりがなく、明確なゴールが見えないものです。だからこそ辛いことも多いのだと思うのですが、目標がずっとあり続けるのはある意味幸せなことなのではないかなと思わせられました。

また、この作品は、仕事で落ち込んだときなどに、自分を立ち返って考えるのにいい作品だなと思いました。毎日のルーチンで見逃しがちになってしまう、大事な核となる気持ちを思い出させてくれる作品だと思います。

私は、このアニメに出てくる主人公たちは飛び抜けた才能があり、「こんな人そうそういないでしょ〜(笑)」というレベルの人達だと感じています。ただ、彼女達が持っている信念や創作に対するこだわりは、とても参考になります。そういった強い信念やこだわりを持って制作すると、必然的に良い映像が作れるのではないかと納得感を与えてくれました。映像制作、ディレクターという自分の仕事の立場を客観的に見つめ直す機会になりましたし、モチベーションになりました。また仕事で自信がなくなった時に見返そうと思います!

映像制作の現場に興味がある、または実際に働いている人には特におすすめの作品です。ぜひ見てみてください!

以上、ディレクターの磯部でした!

この記事を書いた人

磯部彩夏
エレファントストーンのディレクター

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