SPECIAL

クリエイターにこそ読んでほしい“大人”の漫画『左ききのエレン』

クリエイターにこそ読んでほしい“大人”の漫画『左ききのエレン』

現在、アプリ『ジャンプ+』で連載されている漫画『左ききのエレン』を知っているだろうか。

“天才になれなかったすべての人へーー。 ”がキャッチフレーズのこの漫画、一言でいうと“しみる”のだ。

この漫画はアートやデザイン、広告代理店といったジャンルを取り扱っている。10話程度を区切りとして、高校時代、広告代理店時代、大学時代……など舞台は違うのだが、主人公である朝倉光一、天才である山岸エレン、そして岸あやの、あかりの姉妹などその周りの人たちで形成されている。

主人公の光一は美大から広告代理店に入り、世界的なデザイナーになることを夢見る青年だ。「将来は有名なデザイナーになる!」とはいうものの何度も壁にぶち当たる。つまり、”天才”に対する対比の“凡人”として描かれている。

このコマを見てほしい。私自身、ジャンプ+の連載に合わせて読者になり約1年になる。土曜日の更新を楽しみにし、読み終わった後にはビールが飲みたくなるというか、つまみにしたくなる……そんな気持ちが共有できるだろうか。

かっぴー氏がnoteに描かれた読み切り「左ききのエレン」が元となり、その後cakesに作品を発表。やがてジャンプ+でnifuniさんによるリメイク版の連載が始まった。

この漫画がしみるのは仕事のシーンやキャラクターの心理などにリアリティがあることだ。

動画にしてもデザインにしてもアートにしてもいわゆる「クリエイティブ」な仕事をする人たちは、子供の頃から何かしら秀でたものを持っていた人が多いだろう。自分は「何か特別なのではないか」「後世に名前を残す」若き日にそう思った人は少ないだろう。

だが、世の中には上には上がいることを思い知らされる。それが、大学受験の予備校であったり、大学であったり、仕事場であったり。

そうした葛藤の中で、「あがく」様とキャラクターがふと口にする「名言」が心に刺さる。

その反面、天才である山岸エレンは天才であることゆえの葛藤に苛まされる。人間性の欠如であったり、当たり前のことができなかったり。

仕事で疲れた時にこそ読んでほしい。
私はこの漫画を読むたびに思うのだ、「何かを作りたい」と。

▼クリエイターにこそ読んでほしい漫画シリーズ
『ブルーピリオド』
『映像研には手を出すな』

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

ZOOREL編集部/黄鳥木竜の書いた記事一覧へ

タグ

RELATED ARTICLES 関連記事