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【毎週更新】今週の注目映像!~夏の全国高校野球選手権CM〜
大小問わず様々な企業が企業PRや採用などで映像を活用している昨今。「今週注目の映像」では、最近公開された映像の中で、特に注目したい映像をZOORELライターがピックアップして紹介していきます。
昨年、2年ぶりに開催され、今年で104回目の大会となった夏の全国高校野球選手権。地方大会から始まり、本大会を開催する甲子園球場での熱闘が終わると否が応でも夏の終わりを実感させられますよね。
そこで本記事では、CMという観点から近年の全国高校野球選手権の歴史を振り返り、どのような移り変わりが見られるのかを実際の映像とともに解説いたします。
視聴のポイント
全国高校野球選手権のテレビ放映はNHKが中心ですが、主催は株式会社朝日新聞社です。そのため、プロモーションCMも朝日新聞社が制作を行い、公式YouTubeチャンネル上で毎年公開されています。
おすすめの視聴ポイントは、大会ごとにフレッシュな印象を与えてくれる映像表現の豊かさと、一貫して使用され続けながらも多彩なアレンジでまったく異なる感情を引き出してくれる大会歌『栄冠は君に輝く』の使われ方です。
プロモーションCMでも、涙を誘うアニメーション仕立てのもの、真摯で静謐な空気感が漂うもの、青春感溢れるダンス主体のものなど多様な作風を見ることができますが、どれも感動的な演出が光る作品になっているのが特徴的ですので、ぜひ実際に目を通してみて下さいね。
1.第104回全国高校野球選手権大会(2022年)
まずは、本年度のCMからチェックしていきましょう。
ヒロインの声優に日髙のり子さんを迎え、史上初めてのアニメーション動画として制作されています。野球漫画の金字塔『タッチ』でヒロイン・みなみ役を演じた日髙さんの起用は、各方面で反響を呼びSNSでも大きな話題になりました。
わずか30秒という限られた時間の中で、甲子園を舞台に世代を跨いだヒューマンドラマを展開。説明しすぎない演出やシンプルな構成が素晴らしく、見る者の胸を打つショートエピソードとして見事に完成されています。
『タッチ』(1985年)のアニメ放映から今年で37年という時間の流れを重ね合わせて試聴するとその感動もひとしお。涙された方も少なくないのではないでしょうか。
なお、岩崎良美さんが歌う主題歌「タッチ」は今でも甲子園の応援歌としておなじみです。
2.第103回全国高校野球選手権大会(2021年)
昨年行われた第103回大会のCMがこちらです。
静粛な雰囲気の中を切々と響き渡るナレーションと歌声が、心に深く染みる一本になっていますよね。感染症の影響で開催できない年があったことで高校球児の夢の舞台としてより一層の注目を浴びた大会です。
2年ぶりの開催となったことで、奇しくもその脈々と受け継がれてきた歴史の重みが浮き彫りになった大会だけに、とても格調の高いプロモーションを展開しています。
大会歌『栄冠は君に輝く』を厳かに歌い上げているのは、歌手の山崎育三郎さん。大会初日には、出演が予定されていたものの急遽中止になった前年からの2年越しの思いをアカペラ・独唱で全国の甲子園ファンに向けて届けています。
3.第101回全国高校野球選手権大会(2019年)
応援団に着目したCMになっていて、吹奏楽の練習をする学生のシーンからスタートし、吹奏楽部やダンス部が夏の甲子園のために準備をしている様子が映し出されています。
甲子園というと応援団も毎年話題になります。特に生徒数の多い学校の応援団は迫力もたっぷりで味方には頼もしい存在です。プレーする野球部ではなく、一緒に甲子園を盛り上げる他の部活を取り上げる、101回目という新しい時代の幕開けを感じさせてくれるCMです。
4. 第100回全国高校野球選手権大会(2018年)
その前も見てみましょう。第100回のメモリアル大会となった2018年に公開されたCMがこちらです。
普段はライバル校として鎬を削っている大阪3校の生徒たちが協同で作り上げたダンスで、甲子園を支える全ての人たちへの感謝の気持ちと全国の球児たちへの熱いエールを届けています。フィルムカメラのような質感の色褪せた画質を取り入れて、ノスタルジーな雰囲気を演出していますよね。
高校生がCMの主役を担っていることが話題になり、同世代を中心としてSNSでも多数シェアされた本CMは、現在でも視聴が絶えず300万回再生を突破しています。(2022年8月現在)
5.第97回全国高校野球選手権大会(2015年)
ここからは少し昔を振り返ります。
2015年に開催された第97回全国高校野球選手権大会のCMがこちらです。
同志社香里高校のダンス部員たちが軽快なダンスを披露。テーマ曲は2018年大会と同じくやはり大会歌『栄冠は君に輝く』ですが、編曲スタイルやダンスパフォーマンスの相違によって全く異なった印象になっているのが面白いですよね。
6.第91回全国高校野球選手権大会(2011年)
最後に取り上げたいのが2011年に開催された第91回全国高校野球選手権大会では、CMではなく特別な想いを込めた一本の作品が公開されています。
東日本大震災という未曾有の出来事に見舞われたすべての人々に向けて、岩手・宮城・福島三県と阪神大震災があった神戸県の高校生370名が、大会歌『栄冠は君に輝く』を合唱し、復興への祈りを捧げています。厳かな吹奏楽アレンジと背景で流れる大会の歴史を彩ったアーカイブ映像の組み合わせも素晴らしいですよね。
これまで遡ってきたように全国高校野球選手権のCMでは、同一のテーマ曲が使われ続けているのですが、決してマンネリ化することなく毎年フレッシュな印象を与えてくれているのは、見事の一言です。
まとめ
最近の大会を中心にまとめてみました。毎年名勝負や名選手が語り継がれる夏の高校野球、私たち編集部も応援にいった、楽しみにしているという声が沢山上がっています。
過去のCMをきちんと振り返るとアプローチを毎年変えていて、そこに時代のメッセージがのっているようにも思えました。果たして来夏の新作CMがどのようなものになるのか。球児たちが繰り広げる熱戦と共に今から待ち遠しくてたまりません。