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どんな職業でも使える。課題解決のためのデザインの発想法

どんな職業でも使える。課題解決のためのデザインの発想法

こんにちは。エレファントストーン ディレクターの大金です。

大学で4年間グラフィックデザインを勉強し、6年間デザイナーとしてエディトリアルデザインを中心にwebデザイン、動画制作を行なってきました。

この記事では、映像業界ではなくデザイン畑でクリエイティブしてきたからこその視点で、デザインの発想法についてお話しさせていただければと思います。

身近に潜む、デザイン思考

みなさんは、アーティストとデザイナーの違いってなんだと思いますか?

デザインのアウトプットに近い表現をされるアーティストもいらっしゃいますし、逆にアートのような世界観を演出するデザイナーもいらっしゃいます。
では、アーティストとデザイナーの違いってなんでしょう。

そこで「どんな目的」でクリエイティブをしているか、というポイントに注目してみましょう。

アーティスト:「自分の表現」や世の中に対して「問題提起」のためのクリエイティブ
デザイナー :「お客さまが抱える課題」をクリエイティブの力を使って「解決」する

つまり、誰かの課題を解決するものが「デザイン」。
課題を解決していない、自己表現をするものが「アート」だと私は考えます。

課題解決がデザインだ、と言うと「世の中のいろんなものがデザインになるんじゃない?」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。大学から10年近くデザインに関わってきて、大きく括ると世の中の仕事と言われるものはほとんどがデザインに分類されるのではないかと感じています。

あらゆる仕事で「デザイン思考」が使われている

話は変わりますが、私はアルバイトを含めると色んな仕事をしてきました。ホームセンターの品出しから始まり、カラオケ、居酒屋、イタリアン、デザイナー、映像ディレクターなど。改めて並べてみるとバラバラだなと感じる部分ではありますが、それらには共通点があります。
それは、何か目的を持った「お客さま」に「サービス(モノ)」を提供し課題を解決する、ということです。
あれ、課題解決?そう、デザインなんです。

例えばホームセンターの品出しだったら「この商品が広告の品だから入口から一番目に入りやすいところに特設のコーナーを設置しよう」とか「この商品のターゲットは男性だから、自分より目線が高い男性が目に入りやすいように少し高めにポップをつけよう」とか、それはまさにデザインでよく言われる目線誘導の考え方なんです。

居酒屋やイタリアンのホールでも、次の料理を迷っているお客さんに対して「先ほどお刺身を食べていらっしゃったので、湯豆腐などはどうですか?」「本日はかなり冷えるのであったかいものなんていかがでしょう?」と提案してみる。
自然な会話の中での接客ですが、分解してみると与件整理から問題提起を行った上で、次の料理を提案しています。

このように、みなさんも気づかないうちに「デザイン」の考え方で仕事をしているのではないでしょうか。「もしかしてこれもデザイン?」と意識して思考をすることで、自分の今までの仕事がより上手くいくこともあると思います。

ここからは、デザイン思考を意識して仕事を進めていく上で、どう頭を使って発想していったら良いのかを紹介していきます。

デザインの発想法「知る・分ける・判断する」

「デザイン」と一言にいっても、よくわからないという方も沢山いらっしゃると思います。
では、もう少し掘り下げて「デザイン」について考えてみましょう。

そもそも課題解決にデザインを使うってどうするの?という部分ですが、デザインするにあたって大きく分けて3個の要素があります。

①知る
②分ける
③判断する

ここからは、上記の3個の要素について一つずつ掘り下げ、私なりにデザインをどう発想していったら良いのか紐解いていきます。

①知る

まず、一つ目の「知る」
兎にも角にも、課題を解決するにはそのものを「知る」ことが大事だと考えています。

例えば商品のPRをするとしましょう。
お客様の立場から考えたときに、頑張って開発した我が子のような商品をどうにかして売り出したい。そんなお客様の課題を解決するために、デザイナーに依頼がくる。「どこぞの馬の骨か分からんやつに娘はやらん!」実際には頑固親父のようなことをいう人は少ないかと思いますが、それでも少なからずそういう気持ちを持っているのではないかと思います。

そのため、まず「知る」ことがデザインの第一歩。
スマートフォンやタブレットなどが普及し、一般の方でも簡単にクリエイティブができるようになった世の中で、アウトプットのクオリティに関してプロとアマチュアの差が小さくなってきました。その中で、クリエイティブでお客様を満足させ、対価に見合った報酬をいただくことが「プロの仕事」だと考えています。だからこそ、お客様の商品をしっかり理解し、それに合わせた企画提案をする。それによって課題解決ができるかどうかがプロとアマチュアの違いです。

物だけで言えば、提案書はたかがA4の紙一枚、もしくは5MBのPDFのデータ。そこにデザインで価値を付加し、何十万や何百万とお金を出していただく。そのためにもまずは、お客様からしっかり信頼してもらえるように、お客様自身やその商品について深く知っていくことが大切です。

②分ける

二つ目は「分ける」ということです。
ここでは実際にデザインに落とし込む前のアイデア作りを行います。一つ目の「知る」という段階で調べたりヒアリングしたりした知識や情報が、バラバラと羅列されている状態です。そこからまず、重要度で3つくらいに分類していきます。

高◎ コレはマストで伝えたい!
中◯ 言えたら言いたいかも
低× 別にこれは伝えなくてもいいかな

お客様に提案する際は、1案だけで決まることは少なく、1つの案件の中でも複数案出したり、もしくは他社との競合コンペだったり、お客様のなかで「比較」が行われます。
そのため、デザインの見た目だけでなく、どれがお客様の課題を解決できる提案内容なのかを正しく比較してもらうために、上記の重要度に分類した特徴や伝えたいことを整理し伝えることが大切です。

そこで重要になってくるのは、「どの特徴をどのように伝えるのか」という取捨選択です。お客様がどの視点で「比較検討」したいのかを予想し、提案するコンセプトを考えていきます。
例えば、打ち出しの方向性から迷っている方には

・楽しく可愛らしいイメージ
・シンプルですっきりしたイメージ
・かっこよく力強さを感じるイメージ
など、印象の方向性で提案してみる。

あるいは、「シンプル」という方向性は決まっているが、表現方法に迷っている方には、

・レイアウトに圧力をかけ緊張感を持たせ少し攻めた、シンプルなデザイン
・シンプルな中にも、親しみやすさがあるデザイン
・シンプルでも高級感が出るように、特殊紙に箔押しをするデザイン

このように、ヒアリングで伺った内容をもとにコンセプトや方向性を考えていくと、お客さまも選びやすいものが制作できるでしょう。

3.判断する

三つ目は「判断する」ということです。
制作するにあたって、これがいいのか、悪いのかという判断を、常に行なっています。例えば、「このオブジェクトこの色でいいのかな?」や「このフォントこれでいいかな?」など。その中で、しっかり判断し決めていかないと、道に迷ってしまい完成へと辿り着けません。

そのため、判断基準を自分の中でしっかり持ち制作をすることが大切です。そうすることで道に迷うことが減り、ブレがない説得力のあるクリエイティブに繋がります。一つ前の「分ける」で作ったコンセプトがまさに判断基準になってくるのですが、コンセプトに対してイメージの解像度が低いと判断する内容も曖昧になってしまい、結果道に迷ってしまいます。

なので、私は制作に入る前にもう一度資料収集をしたり、本を読んだりして、自分の中で判断基準の解像度をあげてから制作します。(アスリートでいう気持ちを作る、みたいなところです。)
具体的にどういうことをやっているかと言うと、今回制作したいアイデアやコンセプトに対して、リファレンスではどんな色が使われてて、どんなフォントで、どんな文字組みをしているかなどなど、大まかなイメージから細かいディティールまで自分の中にインプットして、それを元に今作っているものがズレてないかを判断していきます。制作中は集めた資料と見比べながら、最初に目指した場所に近づいてるか、イメージがズレてないか、確認しながら進めていきます。

また、もう1つ重要なのが、集めた資料と自分のデザインを見比べた時に、自分が作ってるものが見劣りしていないか?ということです。
世の中に出てしまえば嫌でも同じ土俵に立たなければいけないので、自分自身でオーディションをするくらいの気持ちで、自分が作ったものと資料を見比べて講評します。
(私は、大学時代の教授と前職のディレクターを頭の中に召喚してダメ出ししてもらいます)

そうして三つの要素を一つずつクリアし、ゴールを目指し制作していくことを私は「デザイン」だと思ってます。

レッツ、課題解決ライフ!

「デザイン」と言うと美しい見た目を作るもの、というイメージがあるかと思います。
しかし、私が考える「デザイン」はオーダーメイドの課題解決だと考えています。「オーダーメイド」というところがミソで、お客さまに寄り添って作っていくということが「デザイン」である。それをプロのプライドとして今までデザイナーをやってきました。

現在は映像ディレクターとして働いていますが、媒体が紙やWebから映像に変わっただけで根っこの部分は同じだなと思い、今回はデザインをベースにお話しさせていただきました。

昨今DX化が進む中で、近い将来新しい媒体やプラットフォームができるのではないかと予想しています。
VRやMRがもっと発達して、現実世界にホログラムが出てきたり、バーチャルの会社に出勤したり、世の中の大きな変革期が近いうちに来るのではないかと考えています。
その中で、今お話しした内容はどんな媒体においても使える考え方になるでしょう。

私はクリエイティブの仕事が好きなので、世の中に振り落とされないよう、死に物狂いでしがみ付いております。
長くクリエイティブの仕事を続けるためにも、目の前のお客さまに喜んでいただける提案をひとつひとつ丁寧に積み重ねていきたいですね。
私もまだまだ勉強中なので、沢山のデザインに触れて考えて頑張っていきたいと思います。

ここまで読んでくださり有難うございました!


 

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この記事を書いた人

大金紗由美
エレファントストーン ディレクター

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