HOW TO・TIPS

”高性能のレンズ”って何?
【デジタルカメラの基礎講座(第13回・完)】

”高性能のレンズ”って何? 【デジタルカメラの基礎講座(第13回・完)】

デジタルカメラの基礎講座ではここまでカメラ本体について説明をしてきました。いよいよ最終回となる今回はもう一歩踏み込んで、カメラの”レンズ”について取り上げます。

高性能のレンズとは

カメラを突き詰めていくと、カメラ本体よりもレンズの方が高額です。映画撮影用のシネマレンズになると、何千万円という額のするレンズも存在しているほど。カメラ本体は次から次へと新製品が登場していますが、レンズは意外にも古びず、何十年前のものが未だに使われていることも少なくありません。

デジタルカメラの基礎講座 第1回で取り上げましたが、写真・映像は以下の4段階を経てJPEGやMP4などのデジタルデータになります。

[1]レンズ

[2]撮像素子(イメージセンサ)

[3]画像処理エンジン

[4]記録メディア

この流れからも分かる通り、被写体をカメラの中に取り入れる時に最初に接する部分がレンズです。そのため、レンズが高性能であれば、より質の高い写真・映像を撮像素子に届けられます。

最近は光学性能という言い方をしますが、”高性能なレンズ”の指標の一つは、明るい画が撮れることです。これは、撮れる画の選択肢が多いからです。明るい画が撮れるレンズであえて暗く撮ることはできても、その反対はできません。

レンズに関わる「絞り値」

明るさを調節する要素として「絞り値(F値)」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つの要素(いわゆる露出の三角形)がありました。この3つの要素の中でレンズに関わっているのが「絞り値」です。

レンズによって明るくできる絞りの限界値が異なり、数値が小さくできればできるほど優秀です。「F1.4」は、カメラの中でもトップクラスに明るく写すことができるレンズで値段も高めですが、もう少し安くなると「F2.8」や「F4」、さらに安くなると「F4.7」などの限界値があります。

ちなみにF2.8はF1.4の2倍の数値ですが、単純に光の量が2分の1になっています。これがF5.6になると、さらに2分の1となり、単純に倍々になっているというわけです。

レンズごときれいに撮れる絞り値がある

レンズごとに一番きれいに撮れるF値が決まっています。F1.4が限界値だとしても、その数値から一番暗い数値まで、どの設定にしても最高画質で撮れるかというとそうではありません。一番明るい状態に設定すると、開放ボケといわれるボケが発生し、画がシャープではなくなってしまうのです。

実際、絞りを少し絞った状態がレンズの一番おいしいところ、という風にいわれています。つまり、開放できるレンズほど明るい状態でおいしさがでるので、上述した通り、撮れる画の選択肢が多くなるわけです。

単焦点レンズとズームレンズの特長

単焦点レンズはそのサイズでしか撮れないレンズで、ズームレンズ はサイズを調整できるレンズです。単焦点レンズはその画を撮るためだけのレンズなので、中の構造がシンプルになっており、きれいに明るく撮影することができます。

一方ズームレンズは、中にレンズが複数枚入っていて複雑な構造をしています。そのため、単焦点レンズ に比べて暗くなりやすいという特長があります。

動画用のレンズと写真用のレンズの違い

動画用のレンズと写真用のレンズには、光学性能の違いはそんなにありません。大きな違いは使い勝手です。

動画は動きを撮るのが前提となるので、最も大きな違いは、フォーカスリングの調整のしやすさといえます。シネマレンズはフォーカスリングが大きいので、動いているものを追う時でもコントロールがしやすいです。

シネマレンズは基本的に明るく撮影できます。そのため、照明が少なくて済んだり、よりボカした画を撮影できたりなど、選択肢の幅が広いです。

また、シネマレンズは単焦点シリーズの重さや大きさ、形が同じという点でも優れています。レンズの前にマットボックス(光のフレアやハレーションなどを防止するための装置)を装着し、フィルターを差し込んで撮影することがあるのですが、レンズ の長さや重さが変わると、ボディバランスが変わってしまうため、全てを少しずつ調整しなければなりません。

単焦点シリーズのレンズの大きさ、長さ、形が揃っていると、こういった細かい調整は必要がなくなり、レンズを付け替えるだけでそのまま使えます。

つまり、シネマレンズの単焦点シリーズを揃えると、運用しやすくなり、効率がよくなるのです。


デジタルカメラの基礎講座はこれが最終回です。初心者の方は過去の記事を参考にしながら、実際にカメラを使って撮影をしてみてください。

今後はさらにステップアップした内容も取り上げていきたいと思います!

▽デジタルカメラの基礎講座
第1回:基本的な構造と各パーツの特性
第2回:カメラの選び方。画質の良さは”3つの要素”で決まる
第3回:撮像素子とは?サイズが大きいメリット、デメリット
第4回:撮像素子「フルサイズ」と「APS-C」の違い
第5回:撮像素子のサイズ比較「スーパー35mm」が業界のスタンダード
第6回:画像処理エンジンとは?rawデータで撮影するメリットとデメリット
第7回:4Kってどういいの?映像の”解像度”とは
第8回:アスペクト比(縦横比)とは?
第9回:露出の三角形「絞り値(F値)の基本」
第10回:露出の三角形「シャッタースピード」の基本
第11回:露出の三角形「ISO感度」の基本
第12回:写り方を決める露出の三角形まとめ

この記事を書いた人

ZOOREL編集部
エレファントストーンが運営する「ZOOREL」の編集部です!映像のトレンドにまつわることなどをピックアップしてご紹介します。

ZOOREL編集部の書いた記事一覧へ

タグ

RELATED ARTICLES 関連記事