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独自の視点でファッションをアピールする!アパレル業界に見る2023年春夏最新プロモーション
さまざまなな分野でこれまで見られなかった革新的なクリエーションが登場している昨今。
映像制作会社エレファントストーンが運営するZOORELでは、クリエイターの創作意欲を刺激するイケてる映像をセクター別にお届けしていく予定です。
本記事では、人気ファッションビルと大手アパレルメーカーが直近で公開した2023年SS(春夏)向けPRムービーから5本ピックアップしてご紹介します!
アパレル企業の映像プロモーションについて
映像とファッションの親和性は高く、古くから密接な関わりがあります。アーティスティックな感性を活かして著名なデザイナーが映画監督を務めたり、前衛的な映像作品を発表することも珍しくありません。
その一方、近年、アパレル関連のメーカーやブランドがYouTubeチャンネルを開設してコーディネートの提案や新作アイテムの紹介を行うコンテンツが増加しています。特に百貨店、ファッションビルや大手の企業ブランドでそうした傾向が強くなっており、いかに便利なのかといった実用性にフォーカスが当たりがちです。
ですが、「ブランディング」としてアーティスティックな作風を活かした映像プロモーションを行っている企業も少なからず存在します。そこには実用的な情報コンテンツにはない以下の3つの特徴があります。
アーティスティックな映像が生み出す3つの特徴
①世界観の構築
映像は、ブランド独自の世界観を表現するのに欠かせないツールのひとつです。印象的な音楽、多様な場面転換、ストーリー性のある構成等、クリエイティブ要素を盛り込むことで、写真やイラストよりも緻密でスケールの大きな世界観を構築することができます。
アーティスティックな映像は、お得意様や報道機関に向けたプレスリリースとしての役割も担っており、独自性の強いブランド等はシーズンごとに新しいPRムービーを公開することも多いです。
②ブランドイメージの刷新
これまでとは異なる新しいイメージを多くの人に伝えたい場合、映像を活用したプロモーションは最も効果的な手段のひとつです。新シーズンに向けたPRはもちろんのこと、リニューアルや新規事業に関するお知らせをアーティスティックな映像で発信することで、視聴者に大きなインパクトを与えることができます。
また、新しい魅力を多くの人に伝えることが出来るため、新規顧客獲得を目的として制作されることも多いです。
③社会的メッセージの発信
近年、持続可能で多様な社会の実現をパーパスとする企業が増加しています。しかしながら、SDGsやダイバーシティに関する取り組みをテキストや写真で伝えると、どうしても生真面目な印象になってしまいます。
映像の中にそうした内容を織りまぜることで、想像力を刺激したり視聴者の興味を惹きつけたりするエンターテイメント性を兼ね備えたコンテンツとして、社会性を帯びたメッセージを嫌味なく発信することができます。
アーティスティックなアパレルのPR 事例紹介
① PARCO「PARCO 2023SS 「NEW DEPARTURE」 Full(132s)」
PARCOが公開した132秒のPR映像です。
寓話「アリとキリギリス」のウクライナ版「トンボとアリ」を題材にした作品です。Lil Nas X『MONTERO (Call Me By Your Name)』のMVでグラミー賞にノミネートされるなど世界的に大きな注目を集めているウクライナ出身の映像ディレクターTANU MUINO(タヌ・ムイノ)が手がけています。
PARCOは元々は西武グループの中でアートやファッションに力を入れたファッションビルでした。その流れは西武グループを離れた今でも渋谷店を中心に残っていて、独特な雰囲気を持っていますね。アート・デザインからカルチャー・ファッションまで、古今東西の新鮮な企画テーマをこだわりを持つ人々に向けて発信し続けています。
②LUMINE「“IT’S NEW” WEEK 2023SS」
LUMINEの企業公式YouTubeチャンネルで2023年の1月に公開された最新映像です。
「この世界に、春を連れてくるのは、あなただ。」
LUMINEと言えば、毎シーズン新しい女性像を、ポエティックなセリフと芸術的なイメージで提案してきたファッションビルです。新宿だけでもLUMINE1、LUMINE2、LUMINE ESTと3つのビルを所有しており、JR新宿南口の駅前に鮮烈なイメージのPR広告を打ち出しています。
最新となる2023年春シーズンのプロモーションも、刺さるキャッチコピーに定評のあるルミネらしいメッセージ性の強い作品になっています。洋服のカラーでそれぞれの個性を表現し、ひとりひとりが自由にファッションを楽しむ姿をポップに描かれているトレンド感のある映像が特徴的な1本です。
③無印良品「カポック。木の実から作った、世界で最も軽い天然繊維 | MUJI 無印良品」
アパレル面でも多くのアイテムを展開している無印良品。公式チャンネルでは、新しい繊維にフォーカスを当てたユニークな映像を公開しています。
木の実から作ったサステナブル素材カポックの知られざる魅力を音楽とテロップで紹介。アイテムそのものではなく自社の商品開発に一歩踏み込んだ内容になっている点や、屋外の石壁に衣服をレイアウトするアイデアも斬新。
こちらの映像でキーとなるのは、「芸術性」でなく「社会的なメッセージ」です。社会的なメッセージをごく自然な形でプロモーションの中に取り入れた好例です。
④UNIQLO「Uniform Blue 2023 Spring & Summer Collection」
UNIQLOの2023春夏シーズンの「Uniform Blue」PRムービーでは、オーセンティックなワークウェアの新作アイテムをスタイリッシュな映像で紹介しています。
アパレル企業らしさ全開のセンス溢れるBGMも素晴らしいのですが、本作の一番の見どころは季節感や世界観を演出する映像と色の効果。さわやかなブルーのカラーパレットが特徴のコーディネートが映えるような開放的なロケーション、青空や海との色彩のグラデーションがとても印象的な作品です。
⑤H&M「How To: Remove Coffee Stains from Clothes | H&M」・「Powered by Denim」
スウェーデン発のファストファッション「H&M」。「FOREVER 21」など多くのプチプラファッションがコロナ禍で日本から撤退していく中で生き残ってきたのにはプロモーション戦略が一役買っているかもしれません(FOREVER 21は今年再上陸)。
最新プロモーションでは、HowTo系映像をモダンな感性でスタイリッシュに仕上げてたコンテンツを複数公開してます。
洋服の洗い方をおしゃれにレクチャーしています。
こちらの映像では、春夏シーズンの新作デニムをユニークなアプローチで紹介。回転映像をつなぐことでインパクトのあるプロモーションになっています。カタログ的な映像コンテンツとは対極にある、創意に富んだ編集テクニックにインスピレーションを刺激される1本です。
まとめ
今回はファッションビル系のPRムービーを2つ、大手のファストファッションのPRムービーを3つご紹介しました。
どちらもイメージ戦略によって、商品の魅力を引き出し「買ってみたい」「なんかかっこいい」と魅せることに成功していますよね。今後も面白い映像がありましたら紹介していきます。