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世界を牽引する日本人クリエイターによるメディアアートとは
ここ数年、大きな注目を集めている新しいクリエイティビティの一つに「メディアアート」があります。
耳にする機会が増えている一方で、その定義や代表作などメディアアートの全体像を正確に理解されている方は、意外と少ないのではないのでしょうか?
そこで本記事では、「メディアアート」の定義と種類、そして日本で創作された「メディアアート」の代表作をご紹介していきます!
メディアアートって?
「メディアアート」とは、コンピューターや電子機器といった新しいテクノロジーを表現の媒体として活用するクリエイティビティを総称する言葉です。
ただし、現在進行形の芸術潮流であるため、厳密な定義付けがされているわけではありません。
キャンパスや石材を素材として創作する絵画や彫刻などのオーセンティックな媒体(メディア)に対して、インターネットやブロックチェーン等の新しい技術・媒体を用いた「ニューメディアアート」として捉えるとイメージがわきやすいかもしれません。
ライブコンサートのようなエンターテイメント領域との相性が良く、美術館以外の場所でも体験できる機会が増えつつあるジャンルです。
メディアアートの種類について
メディアアートにはいくつかの種類があります。今回は、その中から代表的な表現を4つご紹介いたします。
①インターネットアート
インターネットを主要なメディアとして展開するアート作品です。「メディアアート」という言葉から多くの方がご想像されるのが、おそらくこの種類の作品だと思います。
オンライン環境さえあればいつでもアクセス可能で、ユーザーが鑑賞するだけでなく参加することのできる作品や、電子メールを活用した作品、オンラインで鑑賞可能なビデオ・オーディオ作品などがあります。
②インタラクティブアート
双方向の意味を持つ「インタラクティブ」という名が付されているように、参加者(アクセスユーザー)の動きによって作品に何らかの変化を生じさせる、参加型メディアアートのことを表しています。
メディアアート作品は、インタラクティブ性を持つものが多いため、ここで取り上げるほかの種類のメディアアートと重複しているケースも少なくありません。
③インスタレーションアート
展示作品だけでなく、それを取り巻く環境もひっくるめてひとつの作品として位置付ける種類のアートのことを「インタレーションアート」と呼びます。
20世紀に登場した芸術表現であり、メディアアートに限った手法ではありませんが、空間全体を表現媒体として捉え、映像や音、光を扱うことの多いメディアアートとインスタレーションアートはとても相性がよく親和性の高い表現手段です。
代表例としては、プロジェクションを使って会場全体を変容させる作品や、音を使ったサウンド・インスタレーション作品などがあります。
④VRアート
VRアートは、近年のテクノロジーの急速な進化によって登場した新しいスタイルのメディアアートです。
バーチャルな世界にプレイヤーが参入し、現実ではできない体験をしたり、仮想空間上に構築されたアート作品に干渉することで無限のアレンジや変化を楽しむことが出来ます。
加速度的に表現の幅が広がっているジャンルでもあり、昨今ではAR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)といった隣接領域の先端技術を活用したり、それらを組み合わせたXR(クロスリアリティ)によるアート表現も登場しています。
世界を牽引する日本の代表作をご紹介
①チームラボ
情報社会において、サイエンス・テクノロジー・デザイン・アートなどの境界を曖昧にしながら、『実験と革新』をテーマに新しいもの創りを行い続けているチームラボ。
2001年から最新のテクノロジーを活用したシステムやデジタルコンテンツの開発を行っている彼らは、アーティスト、プログラマー、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家などさまざまな分野のスペシャリストから構成されている国際的な創作集団です。
チームラボは、2022年の7月から大阪の大阪市立 長居植物園で「Botanical Garden」を常設しています。
動画の「風の中の散逸する彫刻群」は、巨大な彫刻群の周囲を実在する鳥たちが飛び回ることでその表面に光のエネルギーの渦を描き出した作品です。
「生命の存在の輪郭の曖昧さ」をテーマにした本企画では、人間とそれを取り巻く自然がそうであるように、内部と外部の関係性を相互に干渉し合うシームレスな連続体して捉えなおす多種多様な試みが行われています。
また、チームラボは、デジタルテクノロジーによって自然が自然のままアートになるプロジェクト「Digitized Nature」を展開しています。
上記の作品では、日中と日没によって様子が変わるだけでなく、人に触れたり、雨風にさらされると光を強く輝かせ音色を響かせる卵型のオブジェクトが密集するツバキ園そのものがアートとして提示されています。
チームラボのアートは、創るプロセスや参加者とのインタラクティブな交流を通して、新しいものの見方を提供しているのが特徴です。
②落合陽一
筑波大学図書館情報メディア系准教授であり、メディアアーティスト、写真家と幅広い領域で活躍している落合陽一さん。
「デジタル・ネイチャー」(人・モノ・自然・計算機・データが接続され脱構築された新しい自然)をビジョンとして提示した作品を多数発表しています。
空中に触れる光のパターンを描き出す「Fairy Lights in Femtoseconds」(フェアリー・ライト・イン・フェムトセカンド)。
レーザーで作った光のプラズマに触れることで形が無限に変化する最先端のテクノロジーでもあり、インタラクティブ性を帯びたメディアアートを代表する作品の一つでもあります。
空中映像に触ると紙やすりのようなざらっとした感覚を指先に覚える本作は、2015年に発表されて以来、空中ディスプレイやホログラム研究におけるもっとも大きなブレイクスルーとしても注目を集めています。
③谷口暁彦
1983年生まれの谷口暁彦さんは、VRアートをその黎明期である2016年ごろから手掛けている現代アーティストの一人です。
もっぱらゲームエンジンで制作したバーチャルな空間に自分のアバターが登場する作品を作り続けています。
動画内で紹介されているのは《私のようなもの/見ることについて》(2016年)という作品です。
仮想3D空間に存在する作家自身の姿を3Dスキャンして作成された、まったく同じ姿をした二人のアバター(作家にとっての「私のようなもの」)。
鑑賞者は、それを展示室内に投影された各アヴァターから見た風景を体感しながら自由に操作することが出来ます。
また現在、現実空間で開催されないバーチャルな空間に作られたCALM&PUNKギャラリーでのみ開催される展覧会が、2022年1月22日から実施されています。
過去作品や日々の記録なども含め最新作も随時更新されているので、ぜひチェックしてみてください。
④exenemo(エキソニモ)
exenemo(エキソニモ)は、1996年に結成された千房けん輔と赤岩やえによるアートユニットです。
インターネット黎明期からオンライン空間を表現媒体として活動しており、日本のインターネットアート界の旗手として知られています。
2000年以降はネット領域だけでなく現実世界も含め、様々なメディアや空間を横断しながら、多数の展示やパフォーマンスも行っています。
特にハッキング的な手法を得意としていて、Googleのトップページを「インターネットの風景画」としてピクセル細部までアクリル絵の具で再現した《Natural Process》など、デジタル空間と物理空間をユーモラスに接続する手法に際立った特徴を見出すことが出来ます。
まとめ
以上、メディアアートの種類と代表的な日本人アーティストを簡単に紹介致しました。
メディアアートと一口にいっても、現代美術のようなものから最新テクノロジーに傾倒したものまでさまざまあることが分かったかと思います。日本国内だけでなく、世界中で注目を集めているメディアアート。海外ではどのようなアーティストがいるのか、またの機会に紹介したいと思います。
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