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映像づくりにも使える発想
犬小屋を通して「デザイン」を考える

映像づくりにも使える発想 犬小屋を通して「デザイン」を考える

エレファントストーンの今津です。この度は、デザインについての記事を書かせていただきます。

デザインは、現代社会に生きる私たちの身の回りに常にあるものです。都会を歩いていると、ほぼ視界にはなにかしらのデザインが映り込んでいるといっていいくらいです。

今回は、こうしたデザインが世の中に溢れている中で、「そもそもデザインとはなにか?」ということを思考する試しみをひとつ紹介したいと思います。

この試しみが焦点を当てるのは犬小屋です。

その名も、『Architecture For DOGS』

『Architecture For DOGS-』は、デザイナーの原研哉のディレクションのもと、犬の尺度で建築を捉え直すことで新たな建築の可能性を模索する、犬と人間のための建築プロジェクトです。

日本はもとより、上海、カリフォルニア、マイアミ、ブラジルなど世界各地で展示が行われました。

公式サイトには、世界をリードする建築家・デザイナー13組がデザインした「犬のための建築」13作品が、フリーダウンロードできる設計図とともに公開されています。

なぜ、犬小屋なのか?

なぜ、「犬小屋」に焦点を当てたのでしょうか?

犬は、有史以来人間が飼ってきた動物です。人間に交配をコントロールされ、人間とともに生存を規定されてきた犬は、もはや人間とともに生活することしかできない動物です。そうした「人間の尺度で生きざる負えない犬」に焦点に当て、人間と犬の関係を改めて考えることを鑑賞者に促すような空間を作ることが、このプロジェクトの目的です。

それでは具体的に、「犬小屋」を見ていきましょう。

D-TUNNEL by 原研哉 for トイプードル

トイプードルのために作られたこの犬小屋は、今回ディレクションを行なった原研哉自らが作成したものです。

犬小屋の中に階段があり、その階段を登ったところにある穴から、犬が外を、私たちが犬を見れるような設計になっています。

当たり前ですが犬は人間より小さいので、犬が人間に接するときは基本的に、人間を仰ぎ見るようなやり方を取るしかありません。

犬が階段を登ると、その視点を人間に近づけることができるこの犬小屋では、そうした人間と犬の関係を、改めて捉えなおすことを目的としています。

▼紹介動画

 

NO DOG, NO LIFE! by 藤本壮介 for ボストン・テリア

ボストン・テリアのために作られたこちらの犬小屋。

犬が住まう場所を取り囲むようにキューブ状のブロックが積み重ねられ、キューブ状の棚には、犬のものに限らず、飼い主のものも収納されます。

つまり、この空間は、犬のためであると同時に、飼い主のためのものでもあるのです。

この犬小屋が示唆するのは、私たちは「犬の生活」と「人間の生活」を、ある空間を仕切ることによって自然と分けているということです。

「NO DOG,NO LIFE!」。

犬を飼っている人の生活にとって、「犬の生活」と「人間の生活」は別個に存在しているわけではない。そうしたことを、この犬小屋は教えてくれます。

▼紹介動画

今回は犬小屋を2点しか紹介できませんでしたが、『Architecture For DOGS』のWebサイトでは計13の犬小屋が紹介されているので、ぜひご覧ください。

そちらで紹介されている犬小屋の設計図もダウンロード可能となっていますので、DIYに造形が深い方は、実際に作成してみても面白いのではと思います。

デザインが溢れている世の中にとって、デザインとは改めてどういう役割や価値があるのか。私たちの身近にある犬小屋でさえも、デザインの手にかかれば、私たちにとって見慣れぬもの、新鮮なものになる。犬小屋を通して、改めてデザインについて考えてみてはいかがでしょうか。

▽デザインにまつわる他の記事
「アフォーダンス」と私たち
モーショングラフィックスのトランジションあるある

この記事を書いた人

ZOOREL編集部
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