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これを読めば5分で理解 「メタバース」「NFT」「DeFi」の世界を深堀り

これを読めば5分で理解 「メタバース」「NFT」「DeFi」の世界を深堀り

「インターネット上で構築される仮想現実の世界」を意味する「メタバース」。では、これまでも存在していたメタバースの先駆的存在である、オンラインゲーム上の「バーチャルリアリティ」や3DCGによる仮想世界『セカンドライフ』(2003年)と最新の「メタバース」ではいったいなにが違うのでしょうか?

「仮想現実(バーチャルリアリティー)の概念がメタバースに置き換わった」とざっくりお届けした前回に続き、「メタバース」について、第2回目の記事となる今回。“仮想現実2・0”とも言われるその詳細について、「NFT」や「DeFi」を中心に少し深掘りしながらお届けします。

デジタルの世界の全てのモノ・コトに価値付け。革新的な「NFT」の登場

【ひと口まとめ】
・ブロックチェーンの発展でデジタル世界のあらゆるモノ・コト(土地も含む)に価値が生まれた

古いモノと新しいモノの違いを理解するときに重要なのが、新しいものにあって古いモノにはなかったモノ・コトについて考えることです。最新の「メタバース」にあって従来の「バーチャルリアリティー」になかったものはなにか。以下に代表的なものを3つ挙げてみます。

・デジタル上のデータ、コンテンツ、アートの所有権とリアルな価値
・現実のお金(法定通貨)と交換可能な仮想通貨
・リアルなアバター

大バズ中の「NFT」って!?

結論から申し上げますと、思い描く仮想現実の完成形、ゴール、理想像にどちらも変わりはありません。しかしながら、現実世界と変わらないビジネスや生活ができる点でこれまでの「バーチャルリアリティー」や『セカンドライフ』と最新の「メタバース」では、大きく異なります。

・バーチャルな土地や建物を売買
・デジタルコンテンツ・デジタルアートの売買
・バーチャルコンサート・バーチャル美術館の開催

これらの活動を可能にしたのが、「NFT」というブロックチェーンを活用した新しいテクノロジーの登場です。「NFT」とは、非代替性トークンと呼ばれるもので、ブロックチェーン技術を活用しデータの改竄を事実上不可能にしたデジタル資産のことです。

わかりやすくお伝えすると、ブロックチェーンによって信頼性とセキュリティが飛躍的にアップしたことでデジタル世界の所有権が確立し、デジタル上のあらゆるモノ・コトにリアルな価値付けをもたらしたのがこの「NFT」と呼ばれるテクノロジーです。

「あらゆるデジタルデータの権利を誰でも所有できる」という事実は、デジタルコンテンツ・アートの一点モノ化と言い換えてもい良いかもしれません。

つまり、これまでデジタル上の画像、動画といったコンテンツは誰でもDLできる、誰でも複製できるものでした。ところが、そこにNFTの技術を用いることで世界で唯一のシリアルナンバーみたいなものを持たせることができます。このことによって、すでにデジタル上のスニーカー、デジタル上の絵画、デジタル上のゲームカードなどに大きな価値がついています。NFTを利用すれば、あらゆるデジタルデータに偽物・本物を区別する保証書が付与されるため、無限コピーの防止にもつながります。

最初のツイートが三億円で落札

このNFTを象徴する出来事が、2021年3月に起きた「最初のツイート、三億円で落札事件」です。世界でいちばん最初にツイートした人は、Twitter創業者の一人であるザック・ドーシーなのですが、その「just setting up my twttr(を調整中)」というツイート(2006年3月21日に投稿)が、およそ291万ドル(約3億1700万円)で落札され世界中に大きな衝撃を与えました。


(ツイートのリンク先が最初のツイート)

このツイートを売買できるオークションサイト「バリュアブルス」が「NFT」を活用したものであり、この出来事により「デジタル上のあらゆるデータがリアルな金銭的な価値を持つことが世界中に示された」わけです。

巨大マーケットに成長。「NFTゲーム」の世界

現在、市場が急拡大中の「NFT」の中でもひときわ注目を集めているのが、「NFTゲーム」です。その一つの成功例が、NBAが2020年に発表したトレーディングカードゲーム「トップショット(TOP SHOT)」です、

ようは、NBA公認によるトレーディングカードのデジタル販売なのですが、このNFTゲームは以下の3つの点で素晴らしく画期的です。カードがコーピー不可能であり、すべて本物である証明がなされていること。

カードの所有者は、NBAプレイヤーの名シーン映像を視聴することができること。法定通貨だけでなく、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の決済にも対応していることです。

100万人以上のユーザー数を持つ「トップショット」は、運営会社の企業価値が一兆円近くにまで高騰しており、スタープレイヤーのトレーディングカードは、現在一枚数千万円という超高額で取引がなされています。

現在はサッカーゲームの『Sorare』など類似のサービスは多いです。Sorareはすでに欧州の元トッププレイヤーらも出資、今年秋には約750億円の投資をソフトバンクから受けるなどトップショット越えも期待されています。

また、こうした「NFT」の活用は、サブスクの普及でマネタイズに苦しむアートの世界でも大きな期待が寄せられています。収益化においてNFTの特筆すべき点は、転売された金額の一部が最初の出品者に還元されるシステムを導入していることです。「最初は安価だったものが、転売を重ねるうちに高額に」なんてことはオークションサイトでもよくありますよね。

そうしたことがあっても、売買のたびに最初の出品者への収益が発生(著作権ようなもの)するためアーティストの育成や保護にもつながると考えられています。

仮想通貨を飛躍させた「DeFi」の登場

【ひと口まとめ】
・デジタル世界の金融システム「DeFi」の登場でお金の流れがダイナミックに
・近未来のメタバースでは現実と同じような生活や経済活動ができる

メタバースが発展した世界ではメタバースの中だけでほぼすべての生活がを完結させることができるようになると言われています。

その理由は、仮想通貨の信頼度が格段にアップ(度重なるハッキング被害の克服)したこと、現実と変わらないような金融活動を保障す「DeFi」が登場したこと、この二つの出来事が大きな要因となっています。

投機的な対象であったこれまでの仮想通貨のイメージはもう捨ててしまったほうが良いでしょう。

誰でも銀行や証券会社になれる?画期的な「DeFi」

「DeFi」(ディファイ)とは、中央銀行などがお金の流通をコントロールする中央集権型とは異なる分散型の新しい金融システムのことです。

この「DeFi」の登場によって、お金の貸し借りや異なる貨幣の交換といった金融活動を、デジタル世界の中であれば個人が自由かつ直接的に行うことができるようになりました。現実世界の中ではこれらの業務はすべて銀行や証券会社の特権となっていますよね。ですが、「DeFi」のシステムではこうした金融機関は一切存在しないため、きわめて画期的な発明として世界中で大きなバズとなっています。

「De Fi」のシステムや概念的な説明をするとややこしくなるので割愛しますが(興味にある方は上の動画を視聴ください)、デジタル上のお金の流れがく自由でダイナミックになりました。所有しているビットコインを誰かに貸付たり、イーサリアムなどのほかの仮想通貨に交換したり、と仮想通貨の貸し借りや交換だけで利益を得る人がたくさん出てきたということです。

メタバースの世界では、いますぐに誰でも個人銀行や個人証券会社を開けるようになったくらいのざっくりとした理解でも良いかもしれません。また、「DeFi」の素晴らしいところは、中央集権的なお金の管理機関が存在せず、ユーザの誰もがお金の流れをチェックすることができる点にあります。横領や収賄があっても第三者がすぐにチェック可能なため、公平性が限りなく担保されています。

日本は税率が高い? 仮想通貨普及の壁

法廷貨幣との交換については、日本では「総合課税」(所得に合算して税金を計上)という税制の壁が立ちはだかっていますが、世界では株式や為替と同じ分離課税(仮想通貨の収益を独立して税金を計上)が主流となっています。仮想通貨の進展は必然の流れであり、やがて日本でも分離課税にシフトすることは間違いないと考えられています。

メタバースがあらゆる産業を呑み込めば、法定通貨に交換しなくても仮想通貨でそのままあらゆる商品を購入することができるでしょう。もし、コンビニエンス企業や不動産企業がメタバースの世界観に共感してそこに参入するようなことがあれば、衣食住のすべてをメタバースで通用している仮想通貨だけで賄うことができますよね。

バーチャルと現実がシームレスに繋がった高度なデジタル社会は、単なる絵空事ではなく、リアルな第二の現在としてもうすぐ目に前にまで迫ってきています。

まとめ

これまでのバーチャルリアリティーとメタバースでは、デジタルのあらゆるモノ・コトがリアルな価値を持ったこと、お金と変わらない価値を持った仮想通貨が広く流通していることの二点において、決定的に異なっています。そして、それを可能にしたのがどれもブロックチェーン技術を利用した「仮想通貨」「NFT」「DeFi」の発展です。

ちょっと小難しくなってしまいましたが、正直に言いますと、こうした出来事はどれも日本ではさんざんアニメや漫画、映画のなかで描かれてきたことですし、すでにオンラインゲーム上で日常化していることも少なくありません。ですので、「あんまり目新しくもないな……」と思わられた方も当然いらっしゃることでしょう。

そんな方も驚くようなことがおこなわれている「メタバースの実践例と映像の未来」についてもお届けできればと思います。お楽しみに!


 

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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