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2Dと3Dのいいとこどり!ハイブリッドなアニメーション
こんにちは、エディターの高石です。
今回はアニメーションの表現手法についての記事を執筆しました。
多くの方は「アニメーション」と言えば、2Dと3Dどちらか一方の手法を想像されるかもしれません。本記事では、独自の技術によって2Dと3Dの境界を越えた映像をご紹介していきます!
2DCGと3DCGの特徴や違いとは?
2Dの特徴は、主に手描きやアウトラインのある描き方、紙のテクスチャを使った表現などになります。
それにより、温かみを感じる表現を得意としています。
一方で3Dの特徴は、立体表現のためカメラワークやライティングにより迫力のある表現が可能です。これらを融合させると、平面特有の表現に奥行きが加えられた映像になり、より視覚効果を高めた映像にすることができます。
2Dと3Dのいいとこどりのアニメーション事例
ここでは、私がこれまで見たアニメーションの中から、2Dと3Dの融合により魅力的な映像となっている事例をご紹介いたします。
Klaus (2019)
邦題「クロース」。The SPA Studios制作。アニー賞7部門受賞作品。
郵便アカデミーきっての落ちこぼれ学生ジェスパー。彼は北極圏の凍てつく島に駐在する郵便屋さん。その島の住人は手紙はもちろん互いに言葉を交わすことすらしません。島内に郵便のやり取りを復活させることもお手上げかと思いながらも、ジェスパーは地元の女教師アルバと仲良しに。
また、手作りおもちゃでいっぱいの山小屋に独りで暮らす、不思議なおもちゃ職人クロースとの出会いも。そんな思いもよらない友情が、スミレンズブルクの町に再び笑い声と、優しい隣人たちを取り戻します。そしてもちろん、暖炉の隣に願いを込めてぶら下げる魔法の靴下の言い伝えも…。
クリスマスコメディ長編アニメ「クロース」、監督は「怪盗グルーの月泥棒」共同クリエイターのセルジオ・パブロス。
引用:Netflix Japan公式YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=t1clK0dkLEA
多数のメディアで、「2D3Dアニメーションの改革」と取り上げられました。2Dアニメーションではありますが、緻密なライティングやパースの表現により、疑似的に3Dに見せた描画がされています。主に背景に3DCGを使うことで、画面の奥行きなどダイナミックな表現を可能にしています。
ちなみに個人的な感想ですが、この作品はストーリーや音楽の使い方など現代的なコメディになっており、最高に面白いのでまだ観ていない方にはオススメです!
・メイキング紹介
Paperman (2012)
邦題「紙ひこうき」。Walt Disney Animation Studios制作。アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート作品。
ジョン・カースが斬新な技術を用いて初監督を務めたアニメーションの芸術作品。1950年代のニューヨークを舞台に、通勤途中に出会った美しい女性に心を奪われた孤独な青年のストー リーを短編で描く。二度と出会うことはない女性だと諦めるが、ふと向かいのビルのオフィスに彼女がいることに気付き、青年に2度目のチャンスが訪れる。強い思い、想像力、そして書類の束を駆使して、紙ひこうきでなんとか彼女の関心をひこうとする青年だが…
引用:Disney+公式サイト
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/paperman/2PQQQssQ8Gf6
こちらは、いわゆる王道でクラシックなディズニーアニメーションを、そのまま3D化したような短編映画です。人物の髪の表現など、セルアニメーション特有の手描きっぽさが最大限に再現されています。鉛筆のようなアウトラインのある3DCGは魅力的ですね!
SOUL (2020)
邦題「ソウルフル・ワールド」。Pixar Animation Studios制作。アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作品。
ニューヨークでジャズ・ミュージシャンを夢見る音楽教師ジョーは、夢が叶う直前にマンホールに落下してしまう…。彼が迷い込んだのは、ソウル<魂>たちが地上に生まれる前に「どんな自分になるか」を決める世界だった!そこでジョーが出会ったのは、やりたいことを見つけられず、“人間に生まれたくない”と何百年もソウルの世界に留まっている“22番”と呼ばれるソウル。夢のために地上での人生を取り戻したいジョーは22番に協力を求めるが…奇跡の大冒険を繰り広げる二人が、最後に見つけた<人生のきらめき>とは…?
引用:ソウルフルワールド公式
https://www.disney.co.jp/movie/soulfulworld/about.html
こちらは完全に3DCGアニメーションですが、一部2Dの活用方法が特徴的です。劇中では人の魂が生まれる前の「ユーセミナー」という抽象概念の世界があり、そこにジェリー、テリーというキャラクターが登場します。針金を使ったワイヤーアートが元のアイデアで生まれたキャラクターで、二次元的でありながらも、独自のリギング技術により三次元で表現されています。キュビズム的な顔や体の感情表現は紛れもなく2Dのラインアートですが、移動や前後への振り向きなどは違和感なく三次元的な表現がされています。
この作品は現実世界と精神世界の描き分けが明確にされており、リアルタッチな3DCGと、上記の平面キャラクターのような抽象グラフィカルな3DCGとの差がとても効果的です。映像だけでなく映画として非常に完成度が高く素晴らしい作品なので、観たことが無い方にはおすすめしたいです。
まとめ
ここまで、様々な手法で2D3Dが融合したアニメーションの一部の例をご紹介しました。このような斬新な表現に挑戦しているグラフィックは、アニメーション作品に限らずゲームのグラフィックでもよく用いられています。
ご自身の作品に新しい表現手法を取り入れたいと考えている方は、ご紹介した例を参考に、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?
2D表現、3D表現にはそれぞれの良さがあります。前者はアートとして魅力的に見せやすく、後者は自由に空間、質感、光、画角を操ることができるという利点があるのではないかと思います。
叶えたい表現に近ければ2Dと3Dのどちらかにこだわる必要はなく、両者の利点を生かせられれば、グラフィック表現の可能性は無限だと感じられますね!
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