HOW TO・TIPS
写り方を決める露出の三角形まとめ
【デジタルカメラの基礎講座(第12回)】
デジタルカメラの基礎講座 第9回〜第11回までを通して、「絞り値(F値)」「シャッタースピード」「ISO感度」という3つの要素からなる「露出の三角形」についてみてきました。今回は露出の三角形のまとめです。実際に撮影をする際には、それぞれの設定でバランスをとる必要があります。
露出の三角形の設定を変えて撮りたい画を狙う
絞り値(F値)を変えると、「明るさ」と「被写界深度」が変わります。
シャッタースピードを変えると、「明るさ」と「ブレ」が変わります。
そしてISO感度を変えると、「明るさ」と「ノイズ」が変わります。
お気づきかもしれませんが、これら3つの要素のどれを変えても明るさが変わるんですね。そのため、「明るく撮りたい」という場合には、絞り値とシャッタースピードとISO感度のいずれかを変えるという選択肢があります。
ただし、どれでも自由に変えていいのかというとそうではありません。その時その時の撮りたい画の狙いに合わせて調節する必要があります。
注意したいのは、ISO感度を高めると明るくはなるものの、ノイズが多くなり画質が悪くなってしまうことです。基本的に、ノイズが出るほうがいいということはまずありません。
例えば以下のように、3つ要素の組み合わせによって同じ明るさを表現できます。
・ISO100、絞り値F8、シャッタースピード1/125
・ISO100、絞り値F5.6、シャッタースピード1/250
・ISO200、絞り値F5.6、シャッタースピード1/125
これらはどれも明るさが同じなので、撮りたい画の狙いに合わせて組み合わせを変えていきます。被写界深度を浅くして背景をボケさせるために絞りを開く。絞りを開いて明るくなりすぎてしまう場合には、ISO感度を下げる……という具合です。
反対に被写界深度を深くしたい場合は絞りを絞ります。そうすると暗くなるため、ISO感度を上げる、もしくはシャッタースピードを遅くするなどして明るさを調整をします。
他にも、動きのブレ感を出したいからシャッタースピードを遅くし、明るくなりすぎる場合には絞りを絞ったりISO感度を下げたりして調整をすることも。
このように、撮りたい画の狙いや何を表現したいのかによって、3つの数値の組み合わせを決めていきます。
NDフィルターによる光量のコントロール
被写界深度の浅い画を撮影するために絞りを開き、かつ、人の動きの残像を残すためにシャッタースピードを遅くしよう、という場合。明るくなりすぎるためISO感度を下げて暗くしようとしても、太陽の下などでまだまだ明るすぎてしまう場合もあります。
その時に使うのがNDフィルターです。NDフィルターを使用すれば、入ってくる光の量を調節して暗くすることが可能になります。
NDフィルターは物理的に付けることもあれば、カメラによっては内臓されていることもあります。写真でも映像でも、カメラの数値を綿密にコントロールしたり、NDフィルターで物理的に入ってくる光の量をコントロールしたりして、狙った画づくりをするのです。
次回予告
デジタルカメラの基礎講座は次回が最終回です。これまでは主にカメラ本体に関してお伝えしてきましたが、次回はカメラレンズについてお伝えします。
▽デジタルカメラの基礎講座
第1回:基本的な構造と各パーツの特性
第2回:カメラの選び方。画質の良さは”3つの要素”で決まる
第3回:撮像素子とは?サイズが大きいメリット、デメリット
第4回:撮像素子「フルサイズ」と「APS-C」の違い
第5回:撮像素子のサイズ比較「スーパー35mm」が業界のスタンダード
第6回:画像処理エンジンとは?rawデータで撮影するメリットとデメリット
第7回:4Kってどういいの?映像の”解像度”とは
第8回:アスペクト比(縦横比)とは?
第9回:露出の三角形「絞り値(F値)」の基本
第10回:露出の三角形「シャッタースピード」の基本
第11回:露出の三角形「ISO感度」の基本
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