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香りを届けるVR・デジタルサイネージがすごい

香りを届けるVR・デジタルサイネージがすごい

インターネットが当たり前になった現代社会では、通信を通じて「映像」、「画像」、「音声」などのたくさんの情報が私たちの下には届けられています。しかし、香りや匂いに関しては別です。五感のうち嗅覚に関しては、インターネット黎明期から「通信によって香り・匂いをどう届けるか」について研究がされてきましたが、現在一般的に普及しているものはありません。

ところが近年デジタルサイネージと合わせて香り・匂いを届けるプロジェクトがいくつも進行しているのをご存じでしょうか? 本記事で紹介していきます。

1. ソラチルクマモト

VRと香りを組み合わせて熊本の魅力をアピールしようとしているのが『ソラチルクマモト』です。

同プロジェクトは、熊本地震からの創造的復興を目標に熊本の魅力を届ける複合的なプロジェクトです。

そのプロジェクトの一環で、2023年2月に東京渋谷のMIYASHITA PARKに不思議なBOXを設置。視聴者は、BOX内にVRゴーグルをつけて入ることで映像だけでなく音・匂い、五感全てで熊本の空に没入することができるとしています。

 

プレスリリースでは熊本の景色を楽しむことができることを強調しています。

壮大なロケーションが広がる阿蘇の草千里、幻想的な風景に引き込まれる長部田海床路、そして砂の曲線が美しい御輿来海岸。特別映像として、3月に新たに生まれ変わる阿蘇くまもと空港より、通常立ち入ることのできない滑走路付近で撮影した旅客機の発着陸を間近で撮影した映像をお届けします。イベントではBOXの中に入ってVRゴーグルを装着いただき、映像・音・匂い、五感全てで熊本の空に没入いただけます。

引用:熊本の美しい空でチルする ”ソラチル クマモト“プロモーション始動 「どこでもくまもとソラ」体験イベント開催

箱の中に匂いを噴射するというのはアナログですが効果的。それ以外にもInstagramのキャンペーンや街頭に大きなデジタルサイネージを出すなど多角的な展開も魅力です。

2. WOW

「香りがするLEDビジョン」として一つのアイテムで香りも映像もお届けできてしまうと話題なのが『WOW』です。

WOWは透過型のシースルーのデジタルサイネージですが、香りまで届けられるとして話題となっています。

6月下旬に行われた展示会ではキャラメルポップコーンの映像とともにキャラメルポップコーンの匂いを届けることで映像×香りで五感に感じるWOWな演出を体感できます。

 

透過性LEDビジョンはそれ以外にも「軽量」、「湾曲が可能=形状の可変性がある」、「視覚以外での演出が可能」など、多岐にわたる魅力あふれる商品であることがわかります。

3. アロマサイネージ

2020年にアロマ機能を搭載したデジタルサイネージを提唱し、いち早く業界に打って出たのが『アロマサイネージ』です。アロマサイネージは、既存のデジタルサイネージに香りを付加することで従来の視聴覚コンテンツでは伝えられなかった香り情報をはじめ、場の雰囲気や臨場感などを嗅覚刺激で消費者に訴求するそうです。

 

惜しいところは、当時はまだモニターが小さく、自動販売機のような形状でアロマ機能のほうに重きを置かれていたことです。その後、2021年にアルゼンチンでは縦型の大きなサイネージに食べ物や飲み物の映像とその香りを出すデジタルサイネージがつくられました。

これは、デジタルサイネージとしての役割だけでなく、感染症に感染をしている場合に嗅覚異常が起きその映像に映し出されている食品の匂いを感じ取られないことから、感染の判定の有無に使えるとして映し出されました。日本屋内では、2023年春に明治大学の宮下教授もアロマサイネージを発表しております。

こちらはディスプレイも香りもテーブルにおけるサイズとなっています。動画内では香りとともに映像や飲み物を楽しむ姿が映し出されています。

まとめ

このように記事で紹介しても、香り・匂いがどのように届くのかが伝わりにくいのがもどかしいものです。

香りを噴射する機械であったり、LEDビジョンに香りを出す機能を追加したりと多様なアプローチが登場していて、ユーザーの関心を引きそうなものばかりですね。まだまだ過渡期だと想像されますので、今後どのような事例が増えていくのか楽しみです。


 

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この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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