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イメージを上手く伝えられない時に重要な“デザイン=コミュニケーション設計”の考え方

イメージを上手く伝えられない時に重要な“デザイン=コミュニケーション設計”の考え方

こんにちは!エレファントストーンの大金です。

1回目の記事ではデザイン思考についてお話しさせていただきました。

記事はこちらから:どんな職業でも使える。課題解決のためのデザインの発想法

2回目ということで、今回はデザインを依頼する時、すり合わせをする時に心がけていることをお話ししようかと思います。デザイナーでなくても、何かを制作した/する経験は皆さんあると思います。その際にハードルになるのは、「つくりたいものをうまく伝えられない、わかってもらえない」ということではないでしょうか?

そんな想いを「デザイン」という観点から紐解きながら、みなさんにお伝えできればと思います!

「デザイン」の言葉の意味ってなんだろう?

「デザイン」を辞書で調べてみると、設計。図案。意匠。また、製品の機能や美的造形を考慮した意匠計画。と出てきます。言わんとしてることは分かりますが難しいですね。その難しい内容を私的な解釈にすると、デザインとは“コミュニケーションの設計をすること”になります。

例えば、世の中で“デザイン”と呼ばれているものをざっとあげてみます。

  • ビジュアルデザイン
  • プロダクトデザイン
  • UIデザイン
  • サインデザイン
  • 人間工学デザイン

などなど。ポスターなどのビジュアルを使ったデザインから人間の行動を設計するものまでデザインと呼ばれるものは多岐にわたります。その多岐に渡るデザインの共通点は、人間が感じるモノを設計し、こちらが意図するコミュニケーションを相手に理解してもらうという部分です。

そう考えると、映像制作会社に所属している私のメインのアウトプットは映像ですが、ある意味ではその映像というアウトプットもデザインの一つと言えるかもしれません。

身近に潜むデザイン「ビジュアル語」を知ろう

さて、デザインは“コミュニケーション”を設計するモノだと前段でお話ししましたが、もう少し分かりやすく例を交えて解説していきたいと思います。人間は言葉を話します。日本語や英語、中国語、韓国語など様々な言語があったり、日本語だけでみても、敬語や尊敬語、タメ語、命令口調…など言葉一つとってもいろんなコミュニケーションがあります。

実際、皆さんは話す相手によって、その言葉遣い=コミュニケーションの手法を変えているのではないでしょうか?

例えば、上司に話す時は「〇〇の件でご確認いただきたいことがあり、少々お時間いただけないでしょうか?」などの敬語で話すと思います。逆に、友達には「〇〇のことなんだけど、ちょっと見てもらってもいい?」などもっと砕けた言い方になるのではないでしょうか。さらに小さい子供に話す時は「〇〇っていうんだけど、〇〇ちゃんはわかる?」など分かりやすくゆっくり話すと思います。

この話す相手によって言葉遣いを変えることを「ビジュアル」で表現するのが、私たちがデザインと呼んでいるものなのではないでしょうか。言い換えると、「伝える内容、伝えたい人に適切なコミュニケーションをビジュアルで設計する」ことがデザインと呼ばれるものの正体なのです。

そのため、私たちが日常生活において日本語や英語を覚えるのと同じように、デザインの場面では「ビジュアル語」を覚える必要があります。「ビジュアル語」は言語と違って、全世界共通かつ勉強できる場面が日常に溢れています。なので、心配せず、臆せず「ビジュアル語」を身につけていきましょう。

言葉の根底を探ってビジュアルに落とし込もう

まず「ビジュアル語」を話すためには、ニュアンスを掴む必要があります。「可愛い」とか「スタイリッシュ」などの言葉を使う機会は皆さん多いかと思いますが、その言葉の解釈が他の人と違うなと感じたことはありませんか?

あなたが使っている「可愛い」は、言葉としては同じかもしれませんが、先方が思っている「可愛い」とは違うものかもしれません。だからこそ、声を大にして言いたい。

便利ワードであぐらをかくな!!!

「可愛い」「スタイリッシュ」「普通」「かっこいい」「ポップ」「高級感」…

これらの言葉は、色々なニュアンスを含んだ言葉で、その言葉たちに共通認識を持っている人同士の会話では一言で意図を伝えられる便利ワードです。ただ、日本語ってめちゃくちゃ便利だからこそ不便なんです。一つの言葉にたくさんの意味を含むため、人の数だけ解釈が異なり、認識違いや思い違いが多く発生してしまいます。

ここで「可愛い」という言葉について考えてみましょう。「可愛い」と聞いた時に皆さんはどんなビジュアルを思い浮かべますか?

周りの人にも聞いていただくと、「可愛い」っていろんな種類がある!ということに気づいていただけると思います。そのため、何かを制作をする時に「今回は可愛いテイストでいこうと思います!」の一言だけですり合わせを終えてしまうと、「思っていた可愛いとは違った…」と先方との認識に齟齬が生まれていたことに後から気づく…という状況になりかねません。

なので、相手がイメージしている「可愛い」はどんな「可愛い」なのか、そこを探る必要があります。そのため、私がいつも心がけてるのは「可愛い」だけを使わないこと。実際、お客様や社内ではこんな感じでイメージをすり合わせています。

  • 造語をつくって「可愛い」の幅を狭める 「可愛い」+「キレイ」→「キレイめ可愛い」
  • 〇〇系の人が持ってそうなイメージ 渋谷で服を買いに来た人が持ってそう、丸の内で働いてる人が持ってそう
  • あの雑誌に載ってそうなテイスト 「ar」みたいな可愛い、「Begin」みたいなナチュラル可愛い
  • このブランドを持ってそう 「PRADA」を持っていそう、「Aesop」っぽいベーシックな世界観

他者と共通のイメージを持てるであろうものと、解釈の幅が広いイメージ/言葉を掛け合わせることで、不安定な「可愛い」と言う言葉に輪郭を与えます。これで「可愛い」の方向性が絞れるはずです!

デザインってコミュニケーション

デザインとは「コミュニケーションを設計するもの」と一番最初にお伝えした通り、デザインは、クリエイティブの意図を伝えていく手段・言語なのだと思います。お客様に対しても、一緒に制作している人に対しても、やりたいこと・企画意図・世界観などをしっかり伝えることが、デザインを考える上で重要な最初の一歩であり、一番の根底にあることです。

まずは拙い言葉でもいいので、しっかり相手に伝える。ということを意識してみて欲しいです。

それはどういう「可愛い」なのか。このクリエイティブからどんなコミュニケーションをしていきたいのか。何がゴールで、何を達成したいのか。一つひとつ整理しながら構築することで、クリエイティブのカタチも見えてくるのではないでしょうか。言葉、画像、ボディーランゲージ等、様々なコミュニケーションをとって、自分と相手が同じカタチをイメージできるよう、意識してみてください。

そうしたら、もっとクリエイティブが身近に、そして楽しくなると思います!

この記事を書いた人

大金紗由美
エレファントストーン ディレクター

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