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AI、バーチャルプロダクション、ロボットアーム…!技術がすごい傑作MV3選

AI、バーチャルプロダクション、ロボットアーム…!技術がすごい傑作MV3選

画像参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000071115.html

こんにちは!エレファントストーンの光武です。

突然ですが皆さんは、普段音楽を聴かれますか?私はどうなのかというと、音楽好きで日々たくさんのMVをみています。MVは、音楽プロモーションではかかせない手法の一つですよね。そこで今回は、そんなMVの中でも映像ディレクターの私が特に「技術がすごい!」と感じた傑作MV3選をご紹介していきます。

カオスな世界観!“AIらしさ”を活かした演出

【credit】
Video by Red Moons
Directed by Bas Haselager
DOP by Ivar Atilgan & Bas Haselager
Edit by Bas Haselager
Vfx by Bas Haselager
Camera for AI Movie by Ryosuke Sato
AI Animation by Olivier Bink, REMI
Color grade by Jacob Creach

ここ数年、AI技術が急速に発展し、実写と区別がつきにくいレベルまで達していますが、このMVではあえてAIを活用していることを強調するかのような編集がされているように感じます。実写の映像に対してAIで新しく顔をつけたり、PUNPEEさん本人を生成したりしていますよね。そうすることで、色々な音が混ざっている楽曲自体のカオス観を、MVでも表現しているのかなと感じました。

カメラをわざと揺らしたり、画質をとても荒くしたりしているという背景も相まって、まさにカオス!な状態を表現するための新たなAIの活用法を見せてもらいました。AIがまだ確立されきっていないからこその不正確さ(=ある意味“生成AIらしい”もの)を上手く活用しているのが、とても面白いですね。

生成AIツールについて、以前私も記事を書いているのでぜひあわせてご覧ください。
侮れない!脅威のイラスト生成AIツール「Midjourney」

現実とCGの境目を感じさせない!バーチャルプロダクション

【credit】
企画・監督・編集/馬場一萌氏(ホーダウン)
プロジェクト マネージャー・テクニカル ディレクター/Murasaqi氏(stu)
CGアーティスト/平井秀次氏
プロデューサー/賜 正隆氏(松竹)

映像を撮影するためには予算や天候など、様々な制約を乗り越える必要があります。例えば「今回の楽曲は海外のジャングルの中で撮影をしたい!」という時は、飛行機や人員手配の予算的な問題、天候等、物理的な問題がどうしても発生しますよね。その制約を乗り越えられるのが、バーチャルプロダクションと呼ばれる手法です。LEDスクリーンを用いて被写体の背景を映し出し、処理を施すことによって、天候や四季を気にすることなく、撮影の自由度を広げられます。

このMVでは、段ボールや倉庫の棚の一部美術を実際にスタジオに配置し、他のものは全て背景に合成を施しています。こうすることによって、CGだけでは物足りないリアル感を補い、精度を高めているのがすごいポイントだなと思います。MVの中の2:46のカットは、背景と美術の境界線を全く感じずに見ることができ、特にお気に入りです。個人的にtofubeatsのファンなので、この取り組みはとても嬉しいです!

撮影の裏側が分かるメイキング映像が上がっていたので、こちらもぜひ見てみてください。

カメラ“マン”が撮らない!ロボットアーム×バーチャルプロダクション

【credit】
Director:黒田 賢

こちらは、ロボットアームと上述したバーチャルプロダクションの技術を組み合わせて制作されたMV。このロボットアームを使用することで、今まで人による撮影では実現できなかったようなダイナミックかつ正確なカメラワークを実現できるようになりました。例えば、0:13や0:30のカメラワークは特に、頭の中ではイメージできても人がなかなか実現しにくい滑らかさですよね。こちらのMVのお気に入りカットは、2:16あたりのカメラが回り込んで、2人が切り替わるところです。

恐らく、被写体だけを入れ替えて寸分違わぬ動きで撮影しているのではないかと思うのですが、その1mmも違わぬ動きはロボットにしか実現できません。音楽そのものだけでなく、カメラでも「滑らかさ」「ダイナミックさ」を表現することで、楽曲のイメージをそのまま視覚に落とし込むことができていますよね。

ちなみに、他にもご紹介したMVに似ている且つワンカット風に制作された映像も面白かったので、ぜひご覧ください。

まとめ

今回は、2023年に公開されたMVの中から、「AI生成」「バーチャルプロダクション」「ロボットアーム」と、三つの最新技術を用いた映像をご紹介しました。技術の進歩の早さを最近肌で感じています。今後もこうしたトレンドには注目していきたいですね。

この記事を書いた人

光武希
エレファントストーンのディレクター。

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