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社名浸透を目指すBtoB企業のCM戦略

社名浸透を目指すBtoB企業のCM戦略

画像引用:https://www.scsk.jp/pr/cm/

こんにちは!ZOORELを運営する映像制作会社エレファントストーンです。

どれだけ優れた事業内容や実績を持っていても、一般消費者向けの商品を扱っていないBtoB企業は、『売上の規模に反して知名度が上がりづらい』そんな課題を抱える企業も少なくありません。

「もっと優秀な人材を採用したい」「企業の認知度を高めたい」。こうした思いから、BtoB企業がテレビCMやWeb動画などを通じて、自社の名前を世の中に発信するプロモーション事例は、これまでも数多く見られてきました。

では、BtoB企業のプロモーションはどのように進化しているのかでしょうか?
最新の事例をいくつかご紹介します。

会社名の知名度アップを狙ったCM 事例紹介

1. 白銅株式会社-白銅 企業CM 「白銅ミュージカルShow」篇 15秒ver.

「ものづくりをドーンと支える」。なんともざっくりとした標語を掲げながら、YouTubeで150万回以上の再生数を記録したのが、金属素材の専門商社・白銅の企業CMです。

注目すべきは、そのユニークな仕掛け。CMにはお笑いコンビ・どぶろっくを起用し、彼らの代表的な楽曲をベースにした替え歌でインパクトを与えました。一見するとネタに振り切った企画ですが、映像の中ではしっかりと「素材の会社であること」「ものづくりの現場を支える存在であること」も伝えられており、エンタメと企業メッセージの絶妙なバランスが光ります。

チャンネル登録者数は600名ほどにもかかわらず、再生回数は150万超え。BtoB企業の認知拡大戦略として、大きな成功例となっています。

2. SCSK株式会社-CM 「Suits編(LONG(TV CM)Ver.)」

BtoB企業ならではの悩み、それは「名前を知られていないこと」。そんな課題に、あえて正面から向き合ったのがITサービス企業・SCSKのCMです。

2022年に放送されたこのCMでは、女優の今田美桜さんがスーツ姿で登場。凛とした表情で語りながらも、「知名度がない」という自社の現状を堂々と自虐的にアピールするという、攻めた内容が特徴的です。一見するとネガティブな切り口ですが、「それでも選ばれている理由がある」と続くストーリーが、SCSKの事業の信頼性と実績をしっかりと印象付けています。

2024年度秋冬の最新作では、さらに攻めた演出が話題に。CMのテーマは、なんと“花占い”。

花びらを一枚ずつちぎりながら「愛してる」「愛してない」――ではなく、「アイ」「アイ」「アイティ」「アイティ」……。繰り返される“IT花占い”の末、気がつけば今田美桜さんのまわりは花びらでいっぱいに。その様子は、何をしていても最終的には「ITのことを考えてしまう」、そんなSCSKのITへの愛とこだわりを象徴するかのようです。

“知名度がない”と自虐する2022年の第一弾からはじまり、いまやユーモアとメッセージ性のあるCM展開で、BtoB企業のプロモーションに新たな風を吹き込んでいます。

3. JFEホールディングス株式会社-【JFE】JFEだよっ篇/30秒

「JFEって社名なんですよ」。そんな一言からはじまるのが、製鉄大手・JFEスチールのテレビCM。出演タレントには、お笑いコンビ・サンドウィッチマンを起用。

このCMの最大の特徴は、ふたりが未来感あふれる高炉の前で、ひたすら「JFE」という社名を連呼し続けること。しつこいくらいに繰り返されることで、見終わったあとには自然と頭に「JFE」の文字が残ってしまう、そんなインパクトのある構成になっています。

最後にはサンドウィッチマンらしい“ゆるい落ち”も用意されていて、重厚な企業イメージに、親しみやすさをプラス。BtoB企業でありながら、一般層への浸透を狙った巧妙なCM展開といえるでしょう。

4. AGC株式会社-AではじまりCでおわる素材の会社はAGC/展開篇 15秒

「Aから始まり、Cで終わる」。ただそれだけを繰り返す、ある意味潔い社名アピールで話題になったのが、ガラス・電子材料メーカーのAGCです。

2021年に公開されたこのCMは、なんと内容の大半が「AGC」という社名のリズムよい連呼。そのシンプルさが逆に耳に残る構成となっており、公開から16万回以上再生される注目を集めました。

出演しているのは、女優の広瀬すずさん。限られた尺の中で「社名を覚えてもらう」ことに全振りしたような大胆な演出からは、AGCのブランディングへの本気度が感じられます。

AGCの最新CMでも、そのインパクト重視のスタイルは健在です。冒頭から、大きく画面いっぱいに表示されるゴシック体の「A」「G」「C」。まずは社名をしっかりと印象づけにかかります。

続くシーンでは、「AGCの素材は本当にすごいのか?」という挑戦的なテロップが登場。舞台は研究室。白衣をまとった登場人物たちが、素材の性能を実験で証明していくという展開が描かれています。

社名のリズムとインパクトある演出に加えて、実験という“見せる情報”を絡めることで、素材メーカーとしての信頼性と先進性を伝える構成に仕上がっています。

5. S k y 株式会社-CM「Look up」篇 30秒 藤原竜也

タクシーCMなどで目にする機会が多いのが、S k y 株式会社。2015年に俳優・藤原竜也さんを主力製品「SKYSEA Client View」の広告キャラクターに起用して以降、テレビCMにとどまらず、新幹線やタクシーといった移動メディアを中心にプロモーションを展開してきました。

日々の移動時間でCMに触れる経営層や意思決定者層に向けて、確実にS k yの名前を届けるためです。実際に、「このCMで初めてSkyを知った」という声も多く、BtoB企業における認知戦略の成功例といえるでしょう。

興味深いのは、その“見せ方”の巧みさ。CM内では「S k y 株式会社」という文字が登場するのはたった1〜2回程度。それでも印象に残るのは、毎回登場する“青空”や“青色”など、社名にまつわるビジュアル要素を自然に織り込んでおり、視覚からのメッセージが、ブランドの世界観とともにじわじわと浸透していく仕掛けになっています。

溝端淳平さんを起用したCMでは、S k yが自社で開発を手がけていることをストレートに伝え、会社名だけでなく業務内容のアピールにも成功しています。

まとめ

このように、各社が自社の名前をしっかりアピールするために、さまざまなCMを展開しています。

特に、社名がアルファベット3〜4文字や、漢字で短く構成された企業名は、似た名称の会社や一般名詞と重なりやすく、覚えにくい・印象に残りづらい傾向があります。そうした背景から、特に知名度向上を狙ってCMを積極的に活用しているケースが目立ちます。

また、会社名だけでなく、自社の「素材」や「商品名」もCMの中で言葉にして伝えることで、サービス全体の認知を高めようとする工夫も多く見られます。

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/黄鳥木竜
慶應義塾大学経済学部、東京大学大学院情報学環教育部で学ぶ。複数のサイトを運営しZOORELでも編集及び寄稿。引きこもりに対して「開けこもり」を自称。毎日、知的好奇心をくすぐる何かを求めて街を徘徊するも現在は自粛中。

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