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あなたの作家本能が目覚める。「第12回恵比寿映像祭」訪問レビュー
こんにちは、エレファントストーン プロデューサーの福岡です。
「恵比寿映像祭」というイベントをご存知でしょうか? 東京都写真美術館を舞台の中心として、映像分野における想像活動の活性化を目指した国際的フェスティバルです。今回初潜入して来ましたので、その開催模様をお伝えします。
「時間を想像する」時間
12回目を迎える今年のテーマは「時間を想像する」。アカデミックな内容に感じるかもしれませんが、「アートにも映像にも詳しくない」という方でも気軽に楽しめますし、一つひとつの展示がじっくり考えさせられる内容となっています。様々な方に映像の持つ魅力、可能性が伝わるように趣向が凝らされている印象を受けました。
15日間にわたる開催期間の中で、常設展示に加えテーマに即した様々なアーティスト、映像作家の作品が日替わりで上映されたり、トークセッションが行われたり、何度行っても飽きさせないような工夫もなされています。
ごく一部ではありますが、筆者が訪れた中で印象に残った作品をご紹介させていただきます。
エクササイズを数える「見た目カウント トレーニング」
展示室の冒頭、まず目に入ったのは複数のサイネージ内で「知らない人が運動している」ループ映像。
よく見ると、目の前に設置された数字カウンターが画面内の人の動きを認識してエクササイズの回数を数えています。回数はなんと10万回を超えていて、この展示が会期初日からの連続的な時間を記録していることを教えてくれました。
非常にシンプルながらなぜか長時間見入ってしまう。そんな不思議な魔力のある作品でした。
グラス越しに見る映像
「MPEG-4 H.264 Reflecting in Sizes」と題されたこの作品は、複数パターンの映像が流れるLEDサイネージが台座として使用され、その上に並べられた大小のグラスが映像を反射します。グラスを通して見る映像は、新鮮な体験として記憶されます。
また、同フロアに設置されたシアターブースでは、クッションに寝転びながら木にぶら下がったナマケモノを写した定点映像を40分間眺めるという作品が展示されており、その場にいる全員が時間感覚を忘れている様子でした。
その他、映像作品の概念を拡張させられるような作品が数多く並びます。
360度全方位の映像体験「ハナビリウム」
全天球型のスクリーンを活用し、花火が題材の作品が上映されていました。
子どもが親しみやすいキャラクターを用いながらも、花火の仕組みや製造工程、火薬が全て兵器利用されてしまった戦時下の苦い歴史などが紹介されます。また、合間には花火師しか見ることができない真下からの視点で花火を鑑賞でき、年齢層問わず新鮮な体験ができる作品でした。
皆で映像について考える
一般的な美術館と違い、展示の多くが動的である映像祭。訴えかけてくる情報量が多いため、受け手も自然と頭を使ってバックグラウンドやメッセージを探ってしまうのではないでしょうか。
来場者が映像の持つ可能性を探っている一体感が感じられるのも映像祭ならではの魅力です。2020年の会期は終了してしまいましたが、毎年2月頃に開催していますので、来年にも期待が高まります。
すぐ隣には恵比寿ガーデンプレイスもあり、休憩やショッピングにも便利な立地ですので、皆様も休日の過ごし方として検討されてみてはいかがでしょうか。
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