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どうしたって目に入る「NewDaysビジョン」とコンビニ各社のデジタルサイネージ利用
ここ数年、トレインチャンネルの設置や、広告枠の電子化など、交通広告のデジタルサイネージ化が進んでいます。
今回はそんな中、大型ディスプレイを駅構内の各店舗に設置し、利用者にインパクトの強い宣伝を打ち出している「NewDaysビジョン」の意欲的な取り組みと、コンビニ各社のデジタルサイネージの利用状況について取り上げます。
駅ナカコンビニNewDaysのデジタルサイネージ
JR東日本と提携し駅ナカのコンビニとして不動の地位を築いているNewDays。
実は、2010年ごろからコンビニ各社は、こぞって広告のデジタル化路線に舵を切り軒なみ失敗しているのですが、そんな中、唯一の成功事例ともいえるのがNewDaysが2017年から提供している大型ディスプレイ「NewDaysビジョン」です。
首都圏のNewDaysと駅売店のKIOSKの壁面と屋根上に現在900台以上設置し、そのローケーションの優位性を最大限に生かし、利用客・通行人に大きなインパクトを与える革新的な電子広告に取り組み続けています。
- 通常のレジ上やイートインコーナーなど店内設置ではなく、店外の壁面に設置されているため、コンビニ利用客だけでなく通行人にもダイレクトにリーチできる
- 駅ナカでは貴重な「音が出る」ビジョンのため映像と音で通行者の注意をひくことが可能
- 大型かつ高輝度、高画質の「横型ディスプレイ」であるため視認性が高く、テレビCM等の既存コンテンツもそのままのサイズ感で放映
- ネットワーク対応で、駅ごとに広告内容を変えることも可能
以上のような特徴を持つ「NewDaysビジョン」は、広告掲出による影響も数値化しやすく「放映」をすることで10%以上売り上げを伸ばす商品も少なくないようです。
統計によると一日の平均利用者数(レジ通過人数)は43万人で、全店舗での広告接触人数の総計は1,000万人以上。全国平均が1,000人前後といわれる駅外のコンビニエンスストアに比べて圧倒的な影響力を誇ります。
待ち時間が多く発生する駅構内で、電車待ちをしている人、通行する人、待ち合わせで待機している人ががつい見てしまう、革新的な情報コンテンツを多く流しているのも特色です。新宿、渋谷、上野といったビッグターミナルでは壁面全体をジャックし、広告媒体としてストアをまるごとラッピングすることも。
これまでも、初音ミクやスクウェア・エニックスの漫画アプリ「マンガUP!」など異色のコラボを展開し、各方面で話題を呼んでいます。その「どうしたって目に入ってしまう圧倒的な存在感」は、プロモーションの原点であるとともに強力な武器になっています。
今後も次世代型デジタルサイネージとして交通広告を牽引していくだろう「NewDaysビジョン」の動向から目が離せません。
コンビニ各社のデジタルサイネージ利用状況
ローソン
アサツー・ディーケー(ADK)、NTTドコモと提携し、黎明期の2010年頃から、いち早くデジタルサイネージを導入しているのがローソンです。他社との差別化を図り、外からでも通行人が見られるよう店頭に設置し、販促にとらわれず地域全体に訴求する広告媒体「東京メディア」として大々的にプロモーションしていたのですが、あまりに早すぎたのか一時撤退。
現在は、タッチパネル式のデジタルディスプレイをレジに導入。操作画面の他言語化による外国人スタッフのオペレーション向上を図るとともに、ディスプレイの背面は、利用者に向けた広告モニターになっているのですが、正直かなり小規模化していて寂しいものがあります。
個人的に「東京メディアの取り組み」は好感が持てるので、もう一度大々的に展開し、うまく軌道に乗せてくれたらと願っています。
ミニストップ
今いちばんデジタルサイネージに力を注いでいるのが、イオン系列のコンビニエンスストア・ミニストップかもしれません。「コンビニ初の全国展開」「流通業国内最多画面数」と銘打ち、デジタルサイネージを大々的に導入しています。
2017年1月頃から各店舗のレジ上に、32インチ天上吊り下げタイプのデジタルサイネージを設置。レジ待ち、フード温め待ち、コーヒーマシーン待ちで発生するスキマ時間向けに、利用者に有益な商品広告を流しています。
ファミリーマート
コンビニ業界ではじめて両面ディスプレイを導入したのが、ファミリーマートです。2010年5月頃から「街の情報発信拠点」を目指すべく、商品広告にとどまらず、ニュース番組を中心とした独自のコンテンツ、地域社会に役立つ情報を流す挑戦をしていました。
残念ながら取り組み自体は期待していた成果を挙げられなかったようですが、両面ディスプレイによって店内、店外の双方に向けて異なる情報提供を行うアイデアの斬新さは、今も失われていません。
現在は、主にインターネットATM端末の上部モニターにデジタルサイネージを導入し、動画広告を流しています。海外の利用客の多い店舗では、インバウンド向けのプロモーションを中心に流していることも少なくありません。
セブン-イレブン
2009年頃から「近くて便利なお店作り」をコンセプトに掲げ、デジタルサイネージの開始時期も早かったのが最大大手のコンビエンスストア・セブン-イレブン。レジカウンター上部に42型ディスプレイを掲設置し、販促とマーケティングに利用していましたが、これまでは他のコンビニ同様、思うような実績を残せませんでした。
しかしながら、2018年12月からは、新たにNECと手を組み国内初となる顧客層に応じてオススメのコンテンツを放映する「ターゲット広告サイネージ」に挑戦。あわせて、顔パスで決済・入店ができる顔認証システムも導入。コミュニケーション・ロボットPaPeroが、利用者の顔を認識し、属性に応じておすすめ商品を提案する実験もスタートさせており、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングス)を活用した「省人型店舗」拡大を図るデジタル革命に精力的に取り組んでいます。
まとめ
今回は、NewDaysビジョンとコンビニ各社のデジタルサイネージの利用状況について取り上げてみました。駅ナカという利点を最大限に生かした「New Daysビジョン」は「交通系広告」と「コンビニ」という二大利点を生かして大きなインパクトを残していますが、その他コンビニ各社はデジタルサイネージに意欲的に取り組んではいるものの、なかなか成果が上がらないのが実情のようです。
コンビニ広告には、デジタルサイネージのほかにも店内放送、チラシ、カタログ、フリーペーパー、消耗品(割り箸に印刷など)、バウチャー(チケット用紙、クーポン等)など様々な媒体があるので、サイネージ設置場所や内容をチェックしつつその他のプロモーションにも着目してみると、普段何気なく利用しているコンビニの楽しみが少し増えるかもしれません。
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