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MVの制作にかかる費用の相場について
MV(ミュージックビデオ)は、楽曲を制作した後のプロモーションとしてとても大きな役割を果たします。楽曲を映像化することで、その楽曲のもつ世界観を聴覚だけでなく視覚にも訴えることが可能です。例えばビリー・アイリッシュの「bad guy」のMVは、楽曲の不穏な雰囲気を捉えた斬新な映像が話題になりました。
Billie Eilish – bad guy
しかし、いざMVを作ろうと思っても「実際どのくらいの費用がかかるの?」「見積もりが適正な価格かどうか、どう判断すればいいの?」と不安なことが多いと思います。そこで本記事では、MVの制作にかかる費用の相場やその内訳について制作会社に依頼した場合と、フリーランス、知人などに依頼した場合を例に出してご紹介いたします。
MVの制作費用の内訳
▽MVの制作にかかる費用の主な内訳
MV制作費用の内訳は、制作会社とフリーランス、個人、知り合いによって大きく異なります。映像制作会社への依頼の相場は50〜300万円、フリーランスや個人、知り合いへの依頼の相場は、10〜30万円でした。
どちらに依頼する場合も、目指すクオリティや予算によって費用に幅が生じます。制作費は主に企画費、撮影費、編集費に分けられ、それぞれの項目で「人件費」と「諸経費」が発生するためです。それぞれの費用項目の相場は、企画費が5〜30万円、撮影費が35〜200万円、編集費が10〜70万円となることが多いです。
MVの制作において一定のクオリティを担保したい場合には、30〜50万円程度の予算を確保するのがおすすめです。予算が30万円以下の場合、使用機材のランクが低下したり、ロケーションにお金がかけられなくなったりするため、映像の世界観に没頭できるような高いクオリティの映像になりにくいでしょう。
具体的には、編集段階で映像の色味や音を調節するためのスタジオに入れず、映像全体のトーンを補正できなかったり、音楽の臨場感を表現できなかったりするケースが想定されます。スタジオに入って録音したい場合は、それだけで2〜15万円はかかると考えておくと良いでしょう。
また、撮影スタッフの人数を削減しなければならず、十分な制作体制を組めないため、撮影時間が押してしまうケースも考えられます。予算30万円以下でのMV制作は可能ですが、どんな場所、どんな演出、どんな尺、どんな音質、どんな画質で撮りたいのかによって、費用が大幅に変わってしまうため、制作前に理想とする動画をイメージしておくことが重要です。
企画費
MV制作における企画費の相場は、映像制作会社への依頼の場合は5〜30万円、フリーランスの個人に依頼した場合は3〜15万円です。企画費とは、MVで取り上げる商材の下調べやシナリオ検討、動画のカット割りやカメラワークを絵で表す映像制作のための設計図であるコンテ作成にかかる人件費や、調査や資料代などを指します。
制作会社やフリーランスの個人にシナリオ作成を1から依頼すると費用が高くなるため、想定しているストーリーがある場合は、ご自身で企画を考えておくと企画費を抑えられるでしょう。
撮影費
MV制作における撮影費の相場は、映像制作会社への依頼の場合は35〜200万円、フリーランスの個人に依頼した場合は5〜25万円です。撮影費とは、カメラマンやアシスタントなどのスタッフの人件費、照明やカメラなどの機材費、キャストの出演費などを合計したものを指します。フリーランスへの依頼の場合は、基本的に1人で撮影を行うため人件費を削減することができますが、複数のカメラを利用した大規模な撮影などは難しくなるでしょう。
また、キャストを起用すると費用が高くなるため、費用を抑えたい場合には自らが出演したり、風景のみの撮影にしたりすると良いでしょう。撮影規模や日数、目指すクオリティによっても金額に大きく幅が生じるため、MVの演出面での譲れないポイントや完成イメージを明確にしておくと良いでしょう。ちなみに、大体3〜4分ほどのMVでは、1日で撮影を完了することができます。
編集費
MV制作における編集費の相場は、映像制作会社への依頼の場合は10〜70万円、フリーランスの個人に依頼した場合は1〜5万円です。編集費とは、編集人件費や録音費などを合計したものを指します。フリーランスへの依頼の場合は、個人の編集技術に依存する可能性が高いため、求めているクオリティの制作が可能かを確認する必要があるでしょう。
また、アニメーションの追加演出やスタジオでの音声編集・効果音の仕込みなどをしない場合は、費用を安く抑えることが可能です。一方で、イラストを1から作成したり、CGの追加制作などを行ったりするとかかる費用が高くなります。撮影時の画角やカット割りにこだわることで、追加の演出を入れずに済み、結果的に編集費を安くすることができるでしょう。費用とクオリティのバランスを保つために「アニメーションにはこだわる」「ここはCGで表現したい」などこだわりたいポイントを明確にしておくと良いでしょう。
MVの制作費用に差が生まれる理由
MVの制作費用は、「どんな映像を目指すのか」によって変動します。目指すMVの依頼内容によって関わるスタッフの人数や制作の工数が変化するためです。その変化に応じて人件費やその他諸経費の増減が決まります。具体的には、撮影のみの依頼の場合や、撮影素材の編集のみの依頼、出演キャストが少数のMVの依頼などの場合は価格を抑えての制作が可能なケースが多いです。
一方で、企画・撮影・編集まで一貫して依頼する場合や、スタジオ撮影が必要な場合は費用が高額になる傾向にあります。スタジオ撮影をする際は、追加で10〜35万円ほどがかかると想定すると良いでしょう。そのため、あらかじめ大体の予算を決め、その予算内でどのようなMV制作が可能なのか制作会社やフリーランス、または知り合いに相談してみましょう。
MVの制作費用が適正かどうかを知るために
MV制作費用が適正かを判断するには、「複数の制作会社やフリーランス、知り合いなどから見積もりをもらって比較すること」と、「費用の内訳を把握すること」の2点が大切です。
依頼する会社や人によって見積もりに差が出る理由については、会社や個人によって得意なこと(「複雑なアニメーションを作れる」「雰囲気に合わせた色彩補正が出来る」など)やお客様への対応、過去の実績が異なり、それに応じてMV制作に対する価格が変化するためです。また、そもそも設定されている1日あたりにかかる金額も異なります。
適正価格を知るためにも、3箇所程度から同じ条件で見積もりをもらうのが理想的です。また、複数の価格に対してのクオリティも確認することで、「金額は高いけど良い物をつくってくれそう」などの金額だけではない点についても比較することができるでしょう。
費用の内訳を把握するメリットは、どこにいくらかかるかを理解することで自分で必要なところや不必要なところを削ることが出来るという点です。制作にかかる費用には、企画費、撮影費、編集費の各工程において制作人件費や機材費、出演費などの諸経費が発生します。各費用項目に対しての詳細な内訳を知ることで、「キャストの人数を減らそう」「スタジオではなく野外で撮影しよう」など、予算と照らし合わせながら制作に臨むことが可能です。
知人に依頼したい場合などは、見積もり自体がざっくりとしていて内訳を聞きにくいケースがあると考えられるため、制作会社で出した見積もりとクオリティをベースに希望のクオリティと金額を相談してみましょう。
個人へのMVの制作依頼について
フリーランスの個人に対しては、比較的安価でのMV制作の依頼が可能です。映像制作会社と比べて個人への依頼が安価な理由には、基本的に一人で作業をすることが多く人件費を抑えられることや、「撮影だけ」「編集だけ」など限定的に仕事を請け負っている人が多いことが挙げられます。また、実績を作るために低価格で仕事を請け負う傾向にある、ということも考えられるでしょう。
その分、動画のクオリティや制作進行は個人のスキルや経験に依存します。そのため、依頼の際は求めている動画の事例などを見せて、「制作が可能か」「予算が足りるか」などを確認しておくと良いでしょう。さらに、個人への依頼の際は、リソースが限られるため個人で対応できない作業を断られる可能性や、修正が必要なときにすぐ対応してもらえない可能性があります。お願いする制作内容によっては、時間がかかるケースもあるでしょう。そのため、事前にポートフォリオや連絡スピードを確認し、円滑にコミュニケーションを取れそうかを確かめておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、具体的な事例と制作のポイントをご紹介しました。漠然とサービス紹介動画を制作しようと思っても、その種類は多く、表現方法は様々です。そのため、制作前に目的を明確にしておき、動画で達成したい目的をしっかり整理しておきましょう。そうすれば自ずと「他社サービスと差別化したいから、世界観を押し出した映像にしよう」などと方向性が見えてきます。
それでも「映像の打ち出し方がいまいちピンとこないから一緒に考えたい」「打ち出し方から相談したい」と言うご要望があれば、弊社にお気軽にご相談ください。皆様からのご連絡をお待ちしております。
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