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「結婚がゴールではない」JAA広告賞受賞作品「Start in Saga」

「結婚がゴールではない」JAA広告賞受賞作品「Start in Saga」

[画像引用] 佐賀県知事と県民が愛ある未来を描く『START in SAGA』新WEB動画公開

多くの企業や自治体が、様々なシーンで映像を活用したプロモーションを展開している昨今。

たとえ特別な魅力や傑出した強みを持っていても、「テーマ」「メッセージ」「ストーリー」が1つに絡み合っていないと、観てもらいたい人のもとへ作品を届けることは出来ません。

そこで今回は、結婚をテーマに幸福感に包まれる力強いストーリーとメッセージを発信し、大きな注目を集めた佐賀県のプロモーション動画「Start in Saga」をご紹介します。

「Start in Saga」 概要

「Start in Saga」は、佐賀県が「子育てし大県“さが”」プロジェクトの一環で制作した映像です。

2015年にスタートした同プロジェクトは、「佐賀県を、誰もが子育てしたくなる県にしてほしい」そんな県民たちの声から発足しました。出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまでの環境を整えるユニークな取り組みです。

現在、約70事業を展開している同プロジェクトの姿勢や、佐賀県の思い描く未来のビジョンを描いた本作は、独創的なストーリー展開で多くの人の興味・関心を惹き、YouTubeでの再生回数は50万回(2022年1月現在)を突破。

美しい映像や力強いメッセージ性といった広告・プロモーション制作の観点からも高く評価され、消費者が選んだ広告コンクール「第60回JAA広告賞」デジタル広告部門において、「JAA賞グランプリ」を受賞しています。

※「Start in Saga」は、2021年にも制作されていますが、ご紹介する動画はリニューアルされた2022年バージョンです。

「Start in Saga」 制作背景

佐賀県では、県民一人ひとりが、多様な特性や個性を理解し、お互いに認め合える佐賀らしいやさしさが自然とあふれる佐賀県を目指す「さがすたいる」に取り組んでいます。

その一環として、2021年には、現行法制度の中で様々な性的指向や性自認の人たちの生活上の障壁をなくすことを目的に、「佐賀県パートナーシップ宣誓制度」がスタートしています。

「Start in Saga 」制作の背景には、「子育てし大県“さが”」プロジェクトや「さがすたいる」といった佐賀県独自の取り組み、そして佐賀で暮らす幸せな家庭を増やすために、すべての人たちを支えていこうという未来への強い意志があります。

「Start in Saga」 作品紹介

あらすじ

結婚式でたくさんの人に祝福される新郎新婦。「ゴールインおめでとう!」という友人の言葉に、ふと足を止めます。「結婚することがゴールなのか?」と疑問がよぎった新婦のもとに県職員が駆け寄ると、ウェディングロードを足元に敷き、先へ先へと伸ばします。

それを見て、「幸せな道」はずっと先まで続いていくことを知った二人は微笑みあうと、未来へ向かって二人で駆け出していきます。

すると、人生の道のりそのものであるかのような赤絨毯は、地域ならではの景色が広がる街中のあちこちへと転がり、佐賀で暮らす全ての人を祝福する思いもよらないストーリーが紡がれていきます。

3つの特徴

1.多様な価値観を尊重

本作には、「お腹を押さえ歩く妊娠中のご夫婦」「ゆっくりと茶畑を歩くご夫婦」「車椅子のご家族」「4世代で楽しそうに遊ぶご家族」「育休が明け職場復帰した女性」「同性カップル」など、佐賀で暮らすさまざまな人たちが登場します。

そこに込められているのは、県民一人ひとりが多様な特性や個性を理解し、お互いに認め合える社会にしたいという、佐賀県の想いです。

結婚という人生の節目を迎えた夫婦にエールを送りながらも、「結婚することゴールではなく、結婚だけが幸せの形ではない」という、表面的には相反するようにも思えるメッセージが、優しいハーモニーを奏でながら見事に共存する内容になっています。

2.地域で暮らすクリエイターの力を結集

「Start in Saga」は、佐賀県知事や県職員が動画に出演しているだけでなく、九州地方にゆかりのある様々なクリエイターが制作に参加しています。

楽曲は、博多と東京を拠点に活動している夫婦ユニットiimaの二人が担当しています。iimaは、「日常がちょっと違った景色に見えて来る」サウンドを追求しているアーティストで、過去にも九州地方を代表する水族館の一つである「マリンワールド海の中道」(福岡県)のプロモーション音楽を手がけています。

また、「Start in Saga 」の公開にあわせ、佐賀県出身のイラストレーターおほしんたろう氏が、佐賀県在住のカップル・夫婦のウェディングストーリーをイラストにしてプレゼントするキャンペーンも展開されていました。(2022年の2月まで)

地域にゆかりのあるクリエイターの力を結集させて制作したプロモーション作品で、佐賀県全体で結婚・出産・子育てをサポートしようという前向きなメッセージを力強く打ち出していることもまた「Start in Saga」の大きな魅力になっています。

3.プロジェクトの継続性

前述したように、「Start in Saga」は、佐賀県が「子育てし大県“さが”」プロジェクトの一つとして手掛けたものです。

同プロジェクトは、今年で8年目を迎え、佐賀県の公式YouTubeチャンネル「SagaKouhouMovie」では、子育てや結婚をテーマにしたプロモーション作品を継続して公開しています。

こちらは、サガン鳥栖の大ファンの夫婦がホームグラウンドである駅前不動産スタジアムで結婚式を挙げる様子を式当日までのプロセスを含めて公開した動画です。

地域密着を理念として掲げるサガン鳥栖の想いと、地域全体で結婚を祝福しようという佐賀県の姿勢が強く表れた作品になっています、

こちらは、子供の名前に込められた想いについて佐賀に住むご両親が語っている動画です。自然にちなんだ名前を選択されている方が多く、子育てと地域の風土の密接な関係を窺わせる内容になっています。

どの動画からも、結婚・出産・養育の希望を叶える環境を整えて、佐賀県で子育てがしたいと思ってもらえる地域にしたいという佐賀県の力強いメッセージを感じることが出来ます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では、結婚と子育て支援をテーマに制作された佐賀県のプロモーション作品「Start in Saga」をご紹介しました。

独創的なストーリー展開、地域ならではの美しい風景、全ての人々にエールを送る力強いメッセージ。魅力的な映像コンテンツを作るのに必要な要素がギュッと詰まった本作は、どんな立場の人が見てもハッピーな気持ちになる素敵な一本です。

YouTubeでの再生回数は50万回を超えており、広告コンクール「第60回JAA広告賞」でもデジタル広告部門でグランプリに輝くなど各方面からも高い評価を得ています。

また、地域にゆかりのあるクリエイターを起用した多角的なキャンペーンを実施している点も参考にしたい作品です。

今後もユニークなプロモーション事例を見つけたら、ジャンルを問わずお届けしていくつもりです。お楽しみに!

この記事を書いた人

ZOOREL編集部/コスモス武田
慶應義塾大学卒。大学時代から文学や映画に傾倒。缶チューハイとモツ煮込みが大好き。映画とマンガと音楽が至福のツマミ。

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