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【ROOT第一弾プロジェクト】川崎フロンターレ様 – ブランディングムービー制作密着レポート②【価値観探求ボードゲーム – THE KACHINKO編】
ROOTでの川崎フロンターレ様(以下敬称略)ブランディングムービー映像制作に密着!その様子をレポート形式で皆さまにお伝えします。
前回のレポートはこちら
【ROOT第一弾プロジェクト】川崎フロンターレ様 – ブランディングムービー制作密着レポート①【プロジェクトキックオフ!編】
ROOTの映像制作フローの全体像
川崎フロンターレのブランディングムービー制作の全体像は下記のようになっています。
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- 【プロジェクトキックオフ!】初回ワークショップ「“プロジェクトメンバーが、まずお互いのことを知り合う”」
- 【価値観探求ボードゲーム『THE KACHINKO』編】フロンターレの根っこを掘り起こし、企業・チームの価値を言語化する
- 【映像制作編】企画・撮影・編集会議までの流れ
- 【映像上映会】ROOTの映像制作プロジェクト振り返り。“川崎フロンターレ”という組織について考える
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初回ワークショップでは、本プロジェクトに携わるメンバーがお互いのことをより知り合うことを目的に、自己紹介を中心としたワークショップを行いました。今回のレポートではROOTの目玉でもある、弊社オリジナルのボードゲーム『THE KACHINKO』の様子をお伝えしていきます。
価値観探求ボードゲーム『THE KACHINKO』とは
弊社がオリジナルで製作した、参加者全員がゲーム感覚で楽しみながら会社や仕事、個人の価値観を探るボードゲームです。
プロジェクトに応じて、「企業として(あるいは商品・サービスにおいて)何を大切にしていきたいのか」などのテーマを設定し、ワードが書かれた120枚のカードからテーマにおける価値観を参加メンバー全員で最終的に4つのキーワードとして抽出します。
THE KACHINKOの大きな特徴は、価値観の抽出をなんとなくの感覚でなく、“その理由や背景を明確にしながら”言語化できるという点。
話し合う過程から言語化されたキーワードには、Webサイトや会社案内に書かれた自社の魅力・強み、あるいは既に制定されているフィロソフィーの言葉だけではなく、企業の根源となる価値観、そして社員の皆さまが大切にしたい“想い”が現れます。このキーワードを基に映像制作を行うことで、全員が背景や方向性に共通認識を持てるようになり、そして価値観が言語化されることによってその後のブランディングにも一貫したコンセプトを設けることができるのです。
また、一見難しそうに思える価値観を言語化するまでの過程を、役職・部署関係なく“参加者全員がゲーム感覚で楽しみながら経験や考えを出し合い、会社や商品・サービスの価値を探ることができる”のも、THE KACHINKOの特徴です。
では、実際にどのようにプレーするのか、そしてどのように価値を抽出し言語化していくのかを、フロンターレの皆さんの様子と一緒にお伝えしていきます。
ボードゲーム「THE KACHINKO」の誕生背景はこちらから>>>
ボードゲームを使いエンターテイメント要素を盛り込んだ、全く新しいブランディング映像制作サービス『ROOT』
『THE KACHINKO』の遊び方
THE KACHINKOは、ボードと120のワードが書かれたカードを用いて価値を抽出していくボードゲームです。まずはじめに遊び方について説明していきます。
『THE KACHINKO』の遊び方
【前半】決められたテーマに対して、自分が考える価値観を抽出する
1、抽出する価値観のテーマ設定
例えば、商材を軸にしたブランディング映像制作が目的なら「商品・サービスの魅力」、企業理念や取り組みを軸にしたブランディング映像制作が目的なら「企業の魅力」などをテーマに設定します。2、価値観カードを取捨選択
スタート時、手元に4枚カードを持っておきます。順に山札からカードを1枚ずつ引いては手放すを繰り返し、テーマに対して残しておきたい4つのワードを選択していきます。テーマにおいて価値観に合わないものはVOLCANO(火山)、あるいは迷いゾーンに選別していきます。これを山札のカードがなくなるまで続けていきますが、カードを手放す際は“なぜ手放すのか”を説明しながら捨てるようにします。3、テーマにおける自分の価値観を4つに絞る
山札のカードがなくなったら、手元のカードと交換可能な迷いゾーンに残っているカードを見比べながら、自分がテーマに沿っていると思うカードを4枚選び抜きます。最後に、手元に残した4つのカードを理由とともに発表していきます。
【後半】個人から抽出された価値観を、全員の価値観として深化させる
4、価値観カードを4象限に分類
ボードの縦横にそれぞれ軸を設け、4象限を作ります。例えば、縦軸には時間軸(過去⇄未来)、横軸には社内外(社員に対しての価値⇄社外に対しての価値)などを設定します。手元に残った4枚のカードを、理由を発表しながら4象限に分類していきます。5、グループ全体で4つのキーワードに昇華させる
全員がカードを4象限に分類し終わったら、全員で各象限ごとに1つのワードにまとめていき、最終的に4つのキーワードまで絞り込みます。この4つのキーワードが、はじめに設定したテーマにおける価値観として言語化されたものです。
Let’s PLAY
今回は、部署も働いている場所も異なるメンバーで、同じテーマで価値観を抽出していきます。各7〜8名の3グループに分かれてTHE KACHINKOをスタートさせました。
【前半】決められたテーマに対して、自分自身の価値観を抽出する
1、テーマ「すべての人に知ってほしい、川崎フロンターレの大切な価値観は?」
今回ROOTで作る映像は、川崎フロンターレのブランディングムービー。映像制作をするにあたり、THE KACHINKOで抽出する価値のテーマを「すべての人に知ってほしい、川崎フロンターレの大切な価値観は?」と設定しました。カードを選ぶ際の主語を、「市民、選手、スタッフ、スポンサー、そしてファン・サポーターを含む、川崎フロンターレの価値」として考えていきます。
2、まずは手元に4つのカードを残そう
スタートする際は、4枚をはじめの手札として持っておきます。そこから、順番にカードを引いていき、手元に残すのか捨てるのかを判断します。この時手持ちの手札はまだ開示せず、自分自身の中で考えるようにしました。カードを手放す際には、なぜ手放すのか理由を言って手放すようにします。そうすることで、他のメンバーへ考え方を共有できるようになります。
手持ちカードを手放す際、一度火山に捨ててしまうと復活させることはできません。捨てて欲しくないカードに対しては「ちょっと待ったー!!」をして、一旦迷いゾーンへ。今回は直感的に価値に合う合わないを判断していただきました。
ターンを重ねるにつれて、皆さんも自身が思う「フロンターレの価値」が固まってきたようです。しかし、後半になると価値が見えてきた一方でどれを残すかをとても悩まれる場面も。また、カードを火山に捨てる時に「あ、そのワード捨てるんだ…」などの声もあり、その人の働く環境によって手元に残すか手放すか迷うワードはバラけている印象でした。
3、手元にどのカードを残すのか、最終シンキングタイム
最後に、迷いゾーンに残ったカードを含めて手元に残したい4枚を吟味していきます。他の人が手放したカードが、「自分にとってはフロンターレの価値だと思う」という場合は手持ちのカードと交換できます。そして最後に、なぜそのカードを残したのかを一人ずつ発表していきました。
ここまでで前半終了です。最後のシンキングタイムでも、皆さんとても悩まれていたのが印象的でした。また、発表の時には「なるほど」「たしかに」といった声が多く、それぞれの部署や立場による視点の違いにお互いが触れる機会になっていたように感じました。
【後半】個人から抽出された価値観を全員の価値観として昇華させる
THE KACHINKOの後半では、プロジェクトメンバー全員でフロンターレの価値観を4つのワードに絞り込みます。【後半】で選び抜いたワードが、最終的にこの研修のゴールである「川崎フロンターレのブランディングムービー」で伝えるメッセージに紐づいていきます。
4、縦横にそれぞれ軸を設けて、一人ずつ手元のカードを4象限に分類する
今回は縦横に以下の軸を設定し、一人ずつ手元に残った4枚のカードを理由を言いながら4象限に分類していきました。この時、なるべく中央ではなく4象限のいずれかに分類するようにしていきます。
皆さんどこに配置させるべきか迷っており、ついつい中央に配置してしまうような場面が多々みられました。ですが、理由を言いながら進めることでフロンターレの価値について各々整理されていき、結果としてしっかり各象限に分類できているようでした。
5、カードを精査してグループ全員で4つのワードに絞り込む
全員のカードを分類し終わったら、全てのカードを精査し、グループごとに4つのワードに絞り込みます。この時も必ず理由を言ってカードを取捨選択していきます。
理由を伝えながら進めることで、「確かにそうだね」「もっと別のワードが合いそう」などの声があがりました。自然なコミュニケーションの中で、“企業や組織の価値”について意思疎通を図れるのがこのTHE KACHINKOの特徴でもあります。
また、ワードが絞られてくるにつれて「残っているワードよりもしっくりくるワードがあるんじゃないか」という場面も。そういった場合には、新しいワードをカードに書いて追加することができます。今回は「(囚われないという意味での)非常識」「LOVE KAWASAKI」「フロンティアスピリッツ」といったワードが追加されていました。
ここで皆さんの悩みポイントとなっていたのが、「このワードは4象限のうちここでいいのか」「ニュアンスが近いワードをどのように絞っていくのか」など。ニュアンスの近いワードを一つのワードに絞り込む過程で、そのワードの意味とフロンターレの価値観を照らし合わせながら意見を出し合うことで、フロンターレのことをより深く考えるきっかけにもなっていたようです。
今回3つのグループで出てきたワードは以下の通りです。
(一部理由抜粋)
- LOVE KAWASAKI:愛はフロンターレらしさであり、世の中に発信していくべきワードの一つ。支え・サポートとのワードの意味合いもあり、まとめたワードとして選定。
- 個性:ユーモア・遊び心・革新性・自由などのワードが含まれていて、集約するとこのワードになる。
- 一体感:温かさ・楽しむ・喜び・興奮熱狂といったワードがフロンターレらしさ。サッカークラブとして、試合の時の雰囲気・一体感を提供できるのは特別だから。仲間意識や一体感がクラブとして知ってもらいたい部分。
などなど。一つのワードの中にも様々な意味合いが含まれており、皆さんの経験や想いからこのワードが選ばれたということがわかります。3つのグループから出てきた12個のワードを、最後にプロジェクトメンバー全員の価値として4つのワードに絞り込んでいきました。
各象限ごとに「1つの価値観ワード」に絞る
各象限ごとに絞られたワードが、「全ての人に知って欲しい、川崎フロンターレの大切な価値観は?」に対する、皆さんから抽出された価値観になります。ここからは、今回は以下のようにA〜Dの4グループに分かれ、各グループ(=各象限)でひとつのワードにするために検討していきました。
このフェーズでは、はじめに各グループで「なぜそのワードが選ばれたのか」、ワードに込められている価値について共有し合いました。役職も部署もバラバラでしたが、他のグループで出てきた意見をメモしている姿も多く見られ、それぞれの意見をしっかり尊重した中で話し合い、慎重に1つのワードにしているのがとても印象的でした。
ついに、「全ての人に届けたいフロンターレの価値」が4つのワードに抽出されました!
各象限で出てきたワードはこの4つ。
それぞれのワードが選ばれた背景
- 一体感:各グループから出てきたワードでもあり、勝ちに繋がっていない時代も支えてくれたファン・サポーターと創り出したゲームなどでの一体感が、結果としてフロンターレの勝ちにも繋がっているため。
- LOVE KAWASAKI:フロンパーク(試合当日の場外イベント広場)や試合での雰囲気などを表す一体感、誰にでもオープンなところ、親しみやすさという言葉を包括する言葉であるため。
- 追求心:試合だけでなくイベントなどを含め、選手、社員は何事にも追求心を持って取り組んでいて、その姿勢をしっかり伝えていくため。
- 個性:他ワード「非常識」はややネガティブな印象も含まれる。「社会課題を解決する」は具体性が高く、伝えたい価値というよりも手段である。全ての根底には、自由・ユーモア・遊び心などの意味合いも含んだ「個性」のマインドがあるため。
今後、川崎フロンターレのブランディングムービー制作はこの4つのワード「一体感」「追求心」「LOVE KAWASAKI」「個性」を軸に進行していきます。
全3回、約6時間をかけて価値観を言語化し、THE KACHINKOは終了!
部署ごとに普段のフロンターレへの向き合い方はきっとさまざまです。THE KACHINKOを通じてフロンターレ全体を主語として見つめ直した時に、改めて気づくことや今までにない視点に多く触れる機会になったのではないかと感じました。
THE KACHINKOを終えての感想
プロジェクトメンバーの声① 新任管理職メンバー
「カードを取捨選択していく中で、『フロンターレとは』を主語として考えると、“社内”と“クラブ”とで少し考え方が違うので、そこに悩みました。社内の観点では、そのワードに関連して特定の誰かのことを考えたりもして、それでみんなで盛り上がっていましたね。あとは、「ロジカル」など会社として必要としているような、フロンターレとしてあるべきものでも火山にいってしまうこともあり、フロンターレの価値観としてより大切にしているワードが残っていくのはおもしろかったです。」
プロジェクトメンバーの声② 近年入社メンバー
「周りの考えや想いを聞いていくにつれて自分の考えも変化していきました。というのも、自分が残したカードと、皆さんが残していたカードが少しずつ違っていたんですよね。でも、それぞれの価値観はちょっとずつ違うけれど、クラブに反映されると一つにまとまっていると思うと面白いです。(THE KACHINKOで抽出された4つのワードをもとに映像制作が進んでいくことに対して)視聴者にどう感じてもらえるかが気になりますね。視聴者の方は完成した映像を見ることになると思うので、ここまでの過程を含めて届けられるような内容になったらいいなと思います。」
プロジェクトメンバーの声③ 近年入社メンバー
「代表となるワードを4つ決めていく過程で、その裏にはこんな意味が込められているよねっていう部分をじっくり話し合うことができました。印象的だったのは、ワードの取捨選択がすごく難しかったということです。それぞれの価値観がある中で選んでいかないといけないので、理由を聞いて納得する部分もあれば、こっちの方が良いんじゃないかってこともありました。その中でも、経験を踏まえた上での意見や考え方を色々と話し合えたのが良かったと思います。」
プロジェクトメンバーの声④ 近年入社メンバー
「「試合」と「toファミリー」の軸で、最後に「一体感」と「向上心」という二択が残りました。前回私は、勝利へ向かうという意味で「向上心」というカードを残していたのですが、皆さんのお話を聞いている中で、もちろん勝つことも大切ですが、それ以上に人を大事にしている印象を受けました。活動を通してどう貢献していくかを大事にされているので、「一体感」を残したほうがいいと思ったんですよね。また、新任管理職チームの「LOVE KAWASAKI」や「フロンティアスピリッツ」というワードは、造語で自分たちのワードにしているからこそ、見ただけでしっくりきました。」
プロジェクトメンバーの声⑤ 近年入社メンバー
「最初価値観を一つに絞っていく中で、他のグループも迷っていた部分は結構同じなのかなと感じていました。そういったところで共通の考えや価値観を持っていることが分かり、皆さんの根底にちゃんとフロンターレの価値観がある気がして面白いと思いました。部署の垣根を越えてみんなで何かを作り上げることはすごく楽しみな部分ですが、映像制作の経験は全くないので、次回から具体的な内容を考えていくのがなかなか難しそうだなと感じてます。」
THE KACHINKO編 まとめ
映像コンセプトの軸となるキーワードを、社員の皆さんと一緒に決定していくのがROOTの特徴でもあります。今回は、そのキーワード=価値観を抽出するボードゲーム「THE KACHINKO」の様子をお届けしました。
ゲームする過程で自然とお互いの価値観のすり合わせができたり、改めて組織に向き合うことで新しい発見があったりなど、普段の業務では意思疎通を図るのが難しいことを役職や部署の垣根を越えてできるのが、このTHE KACHINKOの特徴です。
ワードを選ぶ過程で話し合われるそれぞれのエピソードや考え方が、ROOTの映像制作ではとても重要なものになってきます。今後プロジェクトを動かしていくにあたり、「なぜこのワードが価値として抽出されているのか」「組織のアイデンティティの根幹はなんなのか」など、背景に共通認識を持っておくことで、プロジェクトの軸がブレなくなりますし、方針に迷った時に立ち戻れる指針になってくれます。
次は【映像制作編】です。映像完成までの一連の流れをお届けします。ぜひお楽しみに!
公開先情報
本プロジェクトを総合的に振り返った内容をエレファントストーンのコーポレートサイトへ掲載しています。下記ボタンからサイトをご覧いただけます。
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第三弾、【映像制作編】はこちら
第四弾、【映像上映会編】はこちら
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