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動画マニュアルの事例と作り方
近年、リモートワーク導入や組織の人数規模拡大に伴い、業務手順書や製品説明書、研修コンテンツといったマニュアルを動画にする企業が増えています。
動画マニュアルは視覚にも聴覚にも訴えることができるため、短時間で多くの情報を伝えることが可能です。すぐに覚えなければいけない業務手順に対しても直感的に理解を促すことができるでしょう。
例えば、新入社員研修用に、営業担当者の接客姿を映した動画を作れば、実際の現場での雰囲気や仕事内容を理解しやすくなりますよね。
また、マニュアルを動画化すると何度も見直しやすくなるため、予習や復習にも便利です。動画マニュアルを管理するツールを使うと、従業員がどれだけ動画を見直して勉強しているのかという効果測定もできるでしょう。
しかし、いざ動画マニュアルを作ろうと思っても「そもそも他社はどんな動画を作っているのか?」「どう作るのか?」「どんなソフトを使えば作れるのか?」などの疑問が出てくるのではないでしょうか。
そこで本記事では、動画マニュアルとはどういうものか理解を深めた上で、色々な事例と実際に制作する時の手順をご紹介します。
【目次】
・動画マニュアルを制作するメリットとデメリット
・動画マニュアルの種類と事例
∟新人教育用の研修マニュアル
∟業務手順マニュアル
∟製品マニュアル
∟機械やシステムの操作マニュアル
∟営業マニュアル
・動画マニュアル作成の手順
∟1、既存のマニュアルについての問題点を洗い出す
∟2、課題を元にマニュアルの改善点を反映させた理想像をすり合わせる
∟3、自作するか外注するか判断する介
∟4、構成と目次を制作する
∟5、必要な情報を整理する
∟6、機材を用意する
∟7、必要な画像や動画の撮影をする
∟8、必要に応じてナレーションや字幕を挿入する
∟9、動画を編集する
・動画マニュアルを作るときにおすすめの動画編集ソフト
∟▼有償のおすすめ動画マニュアル作成ソフト:tebiki(Tebiki株式会社)
∟▼有償のおすすめ動画マニュアル作成ソフト:Teach me Biz(株式会社スタディスト)
∟▼有償のおすすめ動画マニュアル作成ソフト:ClipLine(クリップライン株式会社)
∟▼有償のおすすめ動画マニュアル作成ソフト:iTutor(株式会社ブルーポート)
∟▼無料で使えるおすすめの動画編集ソフト:iMovie(Apple Inc.)
∟▼有償のおすすめ動画編集ソフト:Adobe Premiere Pro(アドビ株式会社)
・自社での動画制作が難しい場合には制作会社への依頼も可能
動画マニュアルを制作するメリットとデメリット
動画マニュアルとは、業務内容や商品、サービスの使い方など、企業で働く人や企業の製品を使う人にとって必要な情報をまとめた動画を指します。
マニュアルといえば、紙に印刷したパンフレットやパンフレット形式のPDFファイルを想像される方も多いと思いますが、それらテキストタイプのマニュアルを動画に落とし込むことで、以下のメリットが生まれます。
・紙の資料よりも実際の動きを直感的に理解しやすい
・個人間の認識のズレが生じにくく、理解度の均一化を図れる
・何度もチェックできるため業務の習得度をあげやすい
・資料印刷や研修準備などのコストを削減できる
・マニュアルを改良した場合に過去の資料をそのまま使ってしまうミスを防げる
・インターネット上で共有することでリモートでの現場教育ができる
例えば、業務で使う機械についての動画マニュアルを作成した場合、実際に操作すべきタイミングや動作、発生する音などの、紙マニュアルでは伝えきれない部分を伝えることができます。
また、介護研修などで一度しか指導されず理解できなかった業務でも、動画マニュアルであれば指導を受ける人は好きなタイミングで復習でき、短期間で深い理解を得られるでしょう。
ここまで動画マニュアルのメリットをご紹介しましたが、必ずしも良い点だけとは限りません。動画マニュアルを制作する時に発生するデメリットとしては以下が挙げられます。
・動画作成のための初期費用がかかる
・撮影、編集など、作成のための時間がかかる
・動画を再生するための機器と環境が必要
動画マニュアルを初めて作成する際には、ある程度の費用と時間がかかります。特に社内で動画を制作したい場合は、動画編集ソフトを調達したり、それらを使用するためのスキルを身に付けたりする必要があるでしょう。
とはいえ、最近は、スマートフォンで撮影した映像をアップロードするだけでマニュアル化できるソフトや、多言語に自動翻訳してくれるソフトなど、動画マニュアルの作成を簡単にする機能をもつサービスも多く普及しています。
1からマニュアルを作成したいという場合だけでなく、既存のマニュアルをアップデートしたい場合や、既存の撮影素材を利用して制作したい場合などでも効率よく制作することが可能になりました。
動画マニュアルの種類と事例
動画マニュアルは、主に以下の5種類に分けられます。
・新人教育用の研修マニュアル
・業務手順マニュアル
・製品マニュアル
・機械やシステムの操作マニュアル
・営業マニュアル
ターゲットへ分かりやすく訴求するためにも、演出方法をしっかりと選ぶことが重要です。ここからは、企業が制作した動画マニュアルの活用事例をみて、動画のイメージを固めていきましょう。
新人教育用の研修マニュアル
新人教育用の研修マニュアルとは、新入社員に会社が求める姿勢や仕事上のマナーを理解してもらうためのマニュアルです。
電話対応や名刺交換などの基本的なビジネスマナーや、先輩社員による業務の進め方のロールプレイング、商品説明の方法、フランチャイズ店舗の店長向けの店舗運営マニュアルなどがこれにあたります。
研修で動画を利用する際は、テーマごとにフェーズを区切って動画を展開すると、新入社員にも理解してもらいやすいでしょう。以下のような課題をお持ちの企業の方には適しています。
・指導者が足りない
・指導者によって教えるポイントが異なる
・外国出身の社員が増え、日本語の紙マニュアルでは対応できない
・実演の機会が少なく、スキルが伝承できない
・適切なタイミングでOJTできない
・感染症の影響で集合して研修できない
・教育のために多大な工数がかかる
・配属後、研修で教えたはずのフローができていないケースが多い
株式会社 日経BP 【日経DVD】初級ビジネスマナー(動画研修映像サンプル)
株式会社 日経BPによる新入社員向けの研修動画マニュアルです。基本的な仕事のルールやマナーを体系的に理解しやすい内容になっています。実際に意識してほしい行動や言動などをケースごとに切り取り、新入社員に注意喚起しています。
学生と社会人の違いを明確にすることで、働く意識をもってもらいやすくなっているでしょう。
ドラマのような形式の動画は、視聴者を引きつけながらポイントを訴求できるので、新入社員にビジネスマナーの重要性を理解してもらいたいという企業の方に適しています。
サントリーマーケティング&コマース株式会社 【接客の極意】料理の提供シーン(初回の提供)【基本編】
サントリーマーケティング&コマース株式会社による居酒屋の接客動画マニュアルです。映像が1カットで構成されているため、初めて接客業を行う人にも接客の流れを理解してもらいやすいです。
また、接客時のポイントをテロップで表示することで、接客の際に意識すべき点が明確になっています。動画全体を通して必要最低限の情報に絞られているので、スムーズに動画を視聴することができます。
「全国に店舗を展開していて新人教育を現場に委ねているが、教育レベルの差を埋められない」という課題をもっている企業の方には適している演出方法です。
なお、こちらの居酒屋の接客マニュアルはパターンごとに何本も作られていて、各動画が1分以内と視聴しやすいのもポイントです。複数のパターンを制作する際は、1本の動画にギュッとまとめるのではなく、短時間の動画に分けて作成するのも1つの手です。
業務手順マニュアル
業務手順マニュアルとは、社内に向けて業務の手順やポイントを解説するためのマニュアルです。企業の新入社員が仕事の全体像を掴むためや、新しい業務の処理手順や方法を説明するために利用されます。
先輩社員が口頭で直接伝えているような業務の手順を動画に落とし込むことで、自分で繰り返し復習することが可能です。先輩社員が直接レクチャーする回数を減らすことができるでしょう。
また、業務遂行のための情報が均一化されることで、業務の手順に対する認識のズレが減り、トラブルの芽を摘むことにも繋がるでしょう。以下のような課題をお持ちの企業の方には適しています。
・指導者が足りない
・外国出身の社員が増え、日本語の紙マニュアルでは対応できない
・紙マニュアルの制作コストが大きい
・紙マニュアルでは動作を伝えきれない
・紙マニュアルを読んでもらえない
・人の入れ替わりが激しく、指導者の教育工数が減らない
株式会社クボタケミックス EF接合施工動画マニュアル chapter02 管の切削 (水道配水用ポリエチレン管)
株式会社クボタケミックスによる水道配水用ポリエチレンパイプの接合手順の動画マニュアルです。使う工具の説明と一緒に作業の様子を映すことで、実際の業務の進め方をイメージしやすくしています。
場面ごとにテロップで注意点を訴求しているため、「どのフェーズで、何に注意する必要があるか」を理解してもらいやすいです。
実際の業務の手順に沿って動画を進める方法は、注意すべきポイントが複数ある機械を用いた業務の手順を分かりやすく紹介したい時に適しています。
製品マニュアル
製品マニュアルとは、会社の製品を購入した、または購入を検討している人に向けて、機能や使い方をわかりやすく解説したものです。いわゆるチュートリアル動画といわれるものです。
製品の利用シーンの実写映像と、ナレーションやテロップでの機能解説を組み合わせることで、動画の視聴者に商品の使いやすさを訴求できます。製品購入のハードルを下げることも可能です。
製品の購入者が簡単に動画マニュアルを視聴できるよう、製品を梱包する箱や紙の注意書きなどにURLやQRコードを記載し、そのコードと動画マニュアルを連携させれば、使い方に関する問い合わせの減少にも繋がるでしょう。以下のような課題をお持ちの企業の方には適しています。
・紙マニュアルでは動作を伝えきれない
・紙マニュアルを読んでもらえない
・紙マニュアルの制作コストが大きい
・外国出身の社員が増え、日本語の紙マニュアルでは対応できない
・正しい使い方をしないと危険
・使い方が難しいと思われていて購入ハードルが高い
株式会社髙儀 【製品マニュアル】ナイロンコードカッター回転繰り出し式 J-A ①刈払機への取り付け方法
株式会社髙儀による刈払機に取り付けて使用する草刈刃の製品動画マニュアルです。製品の購入者に向けて、手順に即した利用シーンを紹介しています。実写映像だけでなく、テロップとナレーションで使用上のポイントを押さえることで、紙マニュアルではとっつきにくい内容も理解しやすくなっています。
動画を視聴することで簡単に取付け可能なことが伝わるため、購入を迷っている人に向けたメリットの訴求に繋がっています。
紙マニュアルでの説明では理解しにくい製品の正しい使い方は、実写とマニュアル、テロップを組み合わせた動画にすることで分かりやすく訴求することができます。
本田技研工業株式会社 Honda発電機の使い方
本田技研工業株式会社による発電機の使い方マニュアルです。購入者に向けて、製品を使用するにあたっての注意点をまとめています。使用方法を誤ると危険なため、冒頭から注意点を解説しています。
動画で最も伝えたい内容を1番最初に展開することで、視聴者にしっかり印象づけています。また、動画マニュアルと紙マニュアルの併用を推奨し、製品の適切な使用を促しています。
誤った使い方をすると危険な製品は、実写の利用シーンだけでなくナレーションとテロップを動画に用いることで、使用上の注意点を分かりやすく伝えることができます。
機械やシステムの操作マニュアル
操作マニュアルとは、システムや機械の操作方法をわかりやすく解説するためのマニュアルです。
実際の操作画面のキャプチャ映像やスクリーンショットを用いて映像を作ることで、一言での説明が難しいサービスの操作方法を簡単に伝えることが可能です。以下のような課題をお持ちの企業の方には適しています。
・紙マニュアルでは動作を伝えきれない
・紙マニュアルを読んでもらえない
・紙マニュアルの制作コストが大きい
株式会社Kaizen Platform KaizenAd 管理画面の使い方
株式会社Kaizen Platformによるプラットフォーム「KaizenAd」の管理画面の使い方マニュアルです。実際の操作画面やキャプチャ画像を用いて操作方法を説明することで、視聴者がパッと見ただけでも理解しやすい内容となっています。
ポインターの動かし方や画面の反応速度など、紙のマニュアルでは伝えきれない内容を分かりやすく訴求しています。また、ナレーションとテロップを採用することで、「次にどんな操作をするべきか」という具体的な操作の流れが伝わりやすくなっています。
操作画面を映しながらナレーションやテロップで説明を加える演出方法は、一見導入のハードルが高そうなプラットフォームや、複数の機能をもったSaaSツールなどを分かりやすく紹介したい方に適しています。
営業マニュアル
営業マニュアルとは、営業担当社員の具体的なセールスプロセスを視覚化・言語化したものです。新入社員などに向けて、営業をする上で重要となるポイントや、商談までの流れなどをまとめています。スキルやノウハウを動画でまとめることで、実演のための人件費や準備時間の削減が可能です。
例えば、先輩社員のロールプレイングの様子を視聴すれば、間の取り方や印象の良い表情などを学ぶことができますよね。紙のマニュアルと比較して、先輩社員のスキルを自身のスキルとして吸収しやすいでしょう。以下のような課題をお持ちの企業の方には適しています。
・指導者によって教えるポイントが異なる
・実演の機会が少なく、スキルが伝承できない
・紙マニュアルでは、作法や声のトーンなどの細かい部分が伝わりづらい
・紙マニュアルを読んでもらえない
・一人一人にOJTの時間をかけられない
株式会社センチュリー21・ジャパン センチュリー21 接客グランプリ 2017年度 準グランプリ 蛯原 礼奈さん
株式会社センチュリー21・ジャパンの中で営業成績の良い社員の方による営業のロールプレイング動画です。会社で必要となる(=評価につながる)営業スタイルを「なんとなくの言葉」ではなくケースとして視聴できることで、視聴者自身の成長していくべき方向性が見えてくるでしょう。
また、営業として経験を積んできた社員にとっても、普段じっくりと観察する機会の少ない同僚の営業スタイルを見て、良いところは自身の営業に活かすといったナレッジの共有にも繋がります。
さらに、ロープレの様子を要所要所で止めたり、カットしたりしていないことで、会話の間や流れ、その場の雰囲気を掴みやすくなっています。表情を捉えるための手持ちカメラと定点カメラを交えることによって、視聴者を飽きさせない工夫もされています。
営業スキルの高い社員のロールプレイング動画は、新入社員に対してだけでなく、全社員の営業スキルの底上げをしたいという企業の方に適しています。
動画マニュアル作成の手順
では、効果的な動画マニュアルはどのように作れば良いのでしょうか?
動画マニュアルを自社内で制作する際の手順としては、以下が挙げられます。
<動画マニュアル作成の手順>
- 既存のマニュアルについての問題点を洗い出す
- 課題を元にマニュアルの改善点を反映させた理想像をすり合わせる
- 自作するか外注するか判断する
- 構成と目次を制作する
- 足りない情報を収集する
- 機材を用意する
- 必要な画像や動画の撮影をする
- 必要に応じてナレーションや字幕を挿入する
- 動画編集をする
一つ一つの手順を踏んで制作することで、効果的な動画マニュアルに近付くでしょう。ここからは、段階ごとに詳しくみていきます。
1、既存のマニュアルについての問題点を洗い出す
まず、動画マニュアルを制作する前に既存のマニュアルについての問題点を洗い出してみましょう。
既存のマニュアルのどの部分を改善したいのかを明確にしないまま動画マニュアルを作成すると、動画を作成した意味をなさず使用されなくなってしまう可能性があります。
検討事項としては下記が考えられます。
・新しくマニュアル化するべき項目の検討
・既存のマニュアルの使用率の検討
・既存の内容において増やした方が良い画角の検討
・既存のマニュアルの使用頻度の検討
初めて動画を制作する方は、動画制作前にマニュアルを実際に使用している現場の声を拾っておくと良いでしょう。
「どこが使いづらいか」「どんな運用方法だと使いやすいか」など、実際に使う人が感じている課題を洗い出すことで、既存のマニュアルのアップデートがスムーズになります。
2、課題を元にマニュアルの改善点を反映させた理想像をすり合わせる
動画のクオリティや尺、必要なソフト(効果検証を測るシステムが必要か)など、1で洗い出した課題を元に理想のイメージとのすり合わせをしましょう。
上記の事例でご紹介した動画の、どのタイプの動画マニュアルを作りたいかをイメージすると良いでしょう。大きく分けると下記があります。
・新人教育用の研修マニュアル
・業務手順マニュアル
・製品マニュアル
・機械やシステムの操作マニュアル
・営業マニュアル
動画を制作する前に、理想とする動画マニュアルのイメージを明確にしておくと、動画の方向性が見えてきます。該当する事例の中身をベースに、自社に当てはめて動画の内容を考えることによって、効率よく制作を進めることが出来ます。
また、この段階で「こんな動画を作りたい」というイメージに合う他社事例をリサーチして、社内で共有しておくと良いでしょう。
業務手順マニュアルや営業マニュアルなどを制作する場合は、現場の担当者に「もっとマニュアルに落とし込みたい情報はないか」「現場で使うマニュアルとして事足りているか」などを直接聞いてみるのも1つの手です。
ただ、初めて動画を制作する場合は費用と時間がかかるため、そもそも既存のマニュアルを動画にする必要があるのかも念の為考えると良いでしょう。
3、自作するか外注するか判断する
動画マニュアルを制作する目的を達成するためには、自作するべきか外注するべきか判断しましょう。自作と外注の各メリットとデメリットは以下です。
自作するメリット
・安価で制作できる
・短期間で制作できる
・外部とのやりとりの工数を削減できる
自作するデメリット
・編集スキルが必要になるケースがある
・撮影機材や編集ソフトが必要になるケースがある
外注するメリット
・撮影や編集のスキルが必要ない
・撮影機材や編集ソフトを揃える必要がない
・一定のクオリティを担保できる
外注するデメリット
・自作と比較して高額になる
・制作に時間がかかるケースがある
例えば、動画マニュアルを安く早く作りたいと考えている場合はスマートフォン1つで撮影から編集まで完了できるソフトを活用すると良いでしょう。(詳しくは後ほど、動画マニュアルを作るときにおすすめの動画編集ソフトの項でご紹介します。)
とはいえ、撮影や編集のスキルも時間もないという場合は実績のある映像制作会社に外注するのも1つの手です。動画マニュアルの制作を外注したい場合は、この段階で映像制作会社に問い合わせてみるのが良いでしょう。
撮影のみや編集のみでの依頼も可能なため、かかるコストや求めるクオリティに合わせて相談してみるのがおすすめです。
弊社ではご契約前に無料相談を受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。
4、構成と目次を制作する
次に、他社の動画マニュアルを参考にしながらざっくりと構成を作成していきましょう。参考になりそうな事例を元に作成した構成に、自社の既存の紙マニュアルの情報を追加していくイメージです。
動画マニュアルは、社外の人による視聴が想定されていないものが多く、ネット上に豊富に掲載されているとは限りませんが、「動画マニュアル 新入社員研修用」「動画マニュアル 事例」などのワードで検索してみると、作りたいイメージに似ている参考事例が見つかるでしょう。
さらに、再度現場の担当者にマニュアルに落とし込みたい情報について細かくインタビューを行い、何となくのイメージを構成に落とし込みましょう。動画の流れを整理することで、視聴者に理解してもらいやすい動画になります。
初めて動画を制作する方は、他社の参考事例を元に同じような構成を作ってみると良いでしょう。
5、必要な情報を整理する
動画を制作する前に、作った構成を元に完成形をイメージしながら、動画の制作に必要な情報を整理しましょう。イメージが漠然としたまま情報収集を進めると、動画に必要な情報がどれなのか選択するのに時間がかかってしまいます。
他社の動画マニュアルの事例をみながら、「動画内でどんな説明が必要か」「どのシーンで何の情報がいるか」「映像ではなく写真を利用する部分はあるか」など、必要な情報を整理していきましょう。
この段階で必要な情報を整理しておくと、完成イメージに合わせた写真素材などを事前に準備しておくことができます。これから制作する動画のイメージも掴みやすくなるでしょう。
6、機材を用意する
動画の完成イメージが具体的になったら、動画を撮影するための機材を用意しましょう。カメラ、三脚、パソコン(編集用)の3つを用意するのがおすすめです。
カメラは、スマートフォンのカメラで十分に対応可能でしょう。一眼レフカメラなど、スペックの高い機材を揃えようとすると、機材を揃えるだけで10万円以上かかるケースもあるため、ご予算と相談した上で、購入するかレンタルするかを決めると良いでしょう。今は機材のレンタルサービスも充実しているので、借りて使用感を試してみるのも良いですね。
三脚があれば、手振れを抑えることができるため映像のクオリティがグンと上がります。画角が固定されるので、見やすい映像になったり、手持ちでは表現できない角度から撮影することができたりするので、1つ持っておくと良いでしょう。
また、パソコンについては動画マニュアル作成のために買う必要はありませんが、編集ソフトを使うことができるスペックのパソコンを用意しておくと良いでしょう。WindowsやMacなどの縛りはありません。
スマートフォンで撮影から編集を全て行うこともできるため、ご予算やお手持ちの機材を確認してから用意しましょう。
7、必要な画像や動画の撮影をする
台本と機材を準備したら、いよいよ撮影です。撮影の際は、お手本の他社事例を参考にしながら、求める動画に必要な画角で撮影しましょう。
例えば営業マニュアルの場合、先輩社員の表情をみせたいシーンには近距離での撮影が、営業現場の雰囲気を伝えたいシーンには引きの画角での撮影が必要ですよね。
再撮影を防ぐために、同じシーンを複数回撮影しておくのも良いでしょう。
8、必要に応じてナレーションや字幕を挿入する
ナレーションやテロップは、動画を分かりやすくする上で重要な役割を担います。他社事例の動画マニュアルの多くに、映像を説明するナレーションやテロップがついていますよね。視覚だけでなく聴覚にも訴えることで、視聴者が動画の内容を理解しやすくなります。
また、音声を聞くことができない環境でも動画の内容を理解できるよう、字幕を挿入するのも1つの手です。動画の目的を達成するために必要な場合は、事前にセリフや文章を用意しておくと良いでしょう。
ナレーションを収録する際は、動画の目的や話す内容、スピード、抑揚などについて、ナレーターと事前にすり合わせておくことが大切です。ナレーターには早めに原稿を渡しておきましょう。収録日までに内容を確認しておいてもらうと、当日の録音もスムーズです。
テロップを挿入する際は、誰が見てもひと目で理解できるような簡潔な文章にするのが良いでしょう。動画を見ている間に文章を読むことになるため、テロップが多いと視聴者の負担が大きくなります。
動画マニュアルの主な目的は、視聴者に製品や作業の手順について正しく理解してもらうことです。難しい用語や表現は避け、シンプルでわかりやすい文章にしましょう。
9、動画を編集する
収録した映像や音声、収集した素材をつなぎ合わせて編集作業を行います。動画マニュアルを編集する際は、動画が長くなりすぎないように注意しましょう。1つのテーマあたり5分以下の長さでまとめることが多いです。
操作解説や注意点などの事務的な説明が長く続くと、視聴者に途中で飽きられてしまう可能性があります。他社の事例を参考にしながら不要なシーンをカットしていくと良いでしょう。
また、動画マニュアルを編集する際に使う編集ソフトについては、普段から動画を編集している方であれば、いつも使っている編集ソフトを使うと良いでしょう。
編集未経験の方であれば、スマートフォンで撮影した素材をアップロードして簡単に編集できるソフトや、簡単な映像のカット、テロップの挿入のみ行うことができる無料のアプリなどを使用すると良いかもしれません。詳しくは以下でご紹介します。
動画マニュアルを作るときにおすすめの動画編集ソフト
一口に動画編集ソフトと言っても、目的によって適したソフトのタイプは異なります。そこで今回は、動画マニュアルに必要な、ナレーションの挿入やテロップの編集ができるソフトをご紹介します。
動画マニュアルに特化したソフトや、動画マニュアル以外の動画編集にも使いやすいソフトをピックアップしているので、求めているクオリティに合わせて選んでみてください。
▼有償のおすすめ動画マニュアル作成ソフト:tebiki(Tebiki株式会社)
tebikiは、現場スタッフがスマートフォンで動画を撮影するだけで、動画マニュアルを簡単に作成できる新人教育システムです。
普段のOJTの様子を撮影するだけで、システムが音声を認識して字幕を自動生成してくれます。100ヶ国語以上の外国語へ自動翻訳することもできるため、外国出身の社員が増え、紙マニュアルでの対応に限界を感じている企業の方にも適しているでしょう。
また、動画へのアクセス履歴と習熟度の進捗が一目で分かるレポート機能を活用することも可能です。
▼有償のおすすめ動画マニュアル作成ソフト:Teach me Biz(株式会社スタディスト)
Teach me Bizは、作業手順などを見える化することで、より伝わりやすく、展開しやすい動画マニュアルを作成することができるサービスです。
テンプレートに沿って画像と文字を入れるだけで、業務工程を漏れなくマニュアル化できます。画像や動画の編集もスキルを問わずできるので、簡単に分かりやすい動画を作りたいという方におすすめです。
作成したマニュアルはタスクとして配信することで、従業員がマニュアルを利用しているか、管理することも可能です。
▼有償のおすすめ動画マニュアル作成ソフト:ClipLine(クリップライン株式会社)
ClipLineは、動画を活用した技術習得支援プラットフォームです。多店舗を展開しているサービス企業の担当者に向けて展開しています。
新人教育などの従業員育成のマニュアルを動画化し蓄積することで、担当者が不在の場合でもセルフトレーニングを行える環境を整えています。新入社員の育成にかかる時間やコストの削減につながります。
全国に店舗を展開しているサービス企業の方や、人材育成コストを削減したい方などに適しているでしょう。
▼有償のおすすめ動画マニュアル作成ソフト:iTutor(株式会社ブルーポート)
iTutorは、パワーポイントのような感覚で動画マニュアルを作成できるサービスです。実際にPC画面上でマニュアル化したい操作を行うだけで自動でマニュアルを作成することができます。ゼロから動画を制作した経験がなくても、簡単に動画マニュアルを作成しやすいソフトです。eラーニングコンテンツを作成することもできるため、社員の業務理解の促進に繋げることも可能です。マニュアル作成にかかる時間を削減したい方や、複雑なSaaSツールの操作を取りこぼしなく伝えたいという方に適しています。
▼無料で使えるおすすめの動画編集ソフト:iMovie(Apple Inc.)
Apple製品ユーザーに限られてしまいますが、無料の動画編集ソフトならiMovieがおすすめです。
映像をカットしたり、繋いだり、テロップや効果音を入れたり、動画の切り替わるシーンでエフェクトをつけたりなど、基本的な編集が可能です。複雑なアニメーション表現はできませんが、過度な演出が不要な動画マニュアルの編集ソフトとしては申し分ないです。
また、iMovieは、多くのユーザーがいるソフトなので、使い方や編集のコツなどを検索すると、たくさんの情報にアクセスできます。動画の編集が初めてという方も挑戦しやすいソフトです。
▼有償のおすすめ動画編集ソフト:Adobe Premiere Pro(アドビ株式会社)
「今後も映像を編集する機会が多くなる可能性が高く、本格的に編集したい」「編集に予算やコストをかけられる」という方は、Adobe Premiere Proの導入をおすすめします。Adobe Premiere Proは、映像クリエイターがこぞって使っているソフトです。
操作に慣れるまでに多少時間が必要になりますが、動画のクオリティにこだわりたい方におすすめです。動画にテロップや効果音を挿入できるだけでなく、動画を切り替える時に様々な演出を加えたり、映像の色や明るさを細かく調整したりすることが可能です。
動画のクオリティにこだわりたい方、今後も動画編集をする予定がある方にはおすすめです。Adobe Premiere Proは月額制ですが、無料体験期間(登録完了から7日間)もあるので、ひとまず導入してみるのも良いでしょう。
自社での動画制作が難しい場合には制作会社への依頼も可能
ここまでご紹介したように、動画マニュアルの制作には様々な手順が必要です。時には、こちらに書き出した以上のことに対応する必要が出てくることでしょう。
動画マニュアル作成ソフトなどで自作できる環境も普及してきましたが、元となるマニュアル資料の量が膨大であればあるほど、長い制作作業時間が必要となり、自作が難しい場合もあります。
そのため、「1つの動画にそんなに時間を取れない」「動画制作の知識がない」という方は、制作会社に依頼するのも1つの手です。
もちろん自社での制作と比較して費用はかかりますが、撮影や編集の手間を省くことができる上に、テロップの入れ方やカット割りなどの面でクオリティの高い動画の制作が可能です。
なお、当サイトを運営するエレファントストーンは動画マニュアルの制作も得意にしています。「動画の知識がないので不安……」という方も、まずはお気軽にご相談ください。分かりやすく、何度も見返したくなるような動画マニュアルが作れるよう、一緒に考えていきましょう。